【PGT-Aとは?】体外受精で“正常胚”を選ぶ検査|メリット・リスク・費用を解説

目次

PGT-Aという選択肢

「体外受精をくり返しても、なかなか着床しない」
「妊娠はしても、何度も流産になってしまう」
 そんな経験を重ねたとき、医師から提案されることのある“ある検査”があります。

 それが、PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)です。

検査をすれば妊娠率が上がる?
受ける意味はある?
費用やリスクは?

 初めてその名前を聞いた方にとっても、何度か耳にしたことのある方にとっても、PGT-Aは期待と疑問が入り混じる、判断の難しい検査かもしれません。

 この記事では、PGT-Aの仕組み、対象、効果、そして注意点まで、最新の研究や制度をふまえて解説します。

三重県津市の鍼灸院「じねん堂はり灸治療院」では、不妊に対する鍼灸施術について【こちらのページ】で詳しくご案内しています。

PGT-Aとは何か?

 不妊治療のなかでも、体外受精(IVF)を続けていると、ときに医師から「PGT-Aを検討してみませんか?」と提案されることがあります。

遺伝子検査?
それってほんとうに必要なんだろうか

 こう感じた方が、実際にいらっしゃいました。

 PGT-A(Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy)は、日本語では「着床前胚染色体異数性検査」と訳される検査です。これは、受精卵が胚盤胞まで育った段階で、その一部の細胞を取り出し、染色体の数に異常がないか(=異数性があるかどうか)を調べる技術です。
 染色体は、私たちの遺伝情報を担う「設計図」のようなもの。通常、ヒトの細胞には22対の常染色体と1対の性染色体、あわせて46本の染色体があります。しかし、何らかの理由で受精卵の染色体に「1本多い(トリソミー)」「1本少ない(モノソミー)」といった異常があると、それが着床障害や流産、胎児の発育不全の原因になることがあるのです。ですから、PGT-Aで調べようとするわけです。

PGT-Aの基本的な流れ

 PGT-Aの基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 採卵・体外受精を行い、胚を胚盤胞(5~6日目の受精卵)の状態まで育てる
  2. 胚盤胞の外側の部分(栄養外胚葉と呼ばれる、将来胎盤になる細胞)から、数個の細胞を採取
  3. その細胞の染色体を調べ、異数性の有無を判断
  4. 染色体に異常が見られないと判断された胚を、移植候補とする

 この検査によって、見た目では判断できない染色体の異常を発見することができ、「より妊娠に至りやすい胚を選ぶ」ための判断材料となります。

PGT-Aは遺伝病の診断ではない

 ここで注意しておきたいのは、PGT-Aは遺伝子疾患の診断や、胎児の健康を保証する検査ではないという点です。たとえば、特定の病気(例:脊髄性筋萎縮症など)に関連する遺伝子の有無を調べるためには、PGT-M(モノジェニック疾患に対する着床前検査)が必要になります。
 PGT-Aが扱うのは、「染色体の本数」だけ。つまり、トリソミー(21トリソミー=ダウン症など)やモノソミーのような、数の異常に特化した検査なのです。

実際に受けるためには、対応施設の選定が必要

 PGT-Aは、どの不妊治療施設でも行えるわけではありません。
 日本では、日本産科婦人科学会が承認した施設などでのみ行われています。
 三重県内でPGT-Aを実施している施設は、みのうらレディースクリニック(鈴鹿市)、三重大学医学部附属病院(津市)、医療法人西山産婦人科(津市)、済生会松阪総合病院(松阪市)です。
 また、PGT-Aを希望する患者に対しては、遺伝カウンセリングを行う必要があるとされています。この検査が本当に必要なのかを、治療歴や年齢、採卵数などと照らし合わせながら慎重に判断することが求められます。

「検査を受ければ妊娠できる」は誤解

 PGT-Aはたしかに、胚の染色体情報を詳しく知ることができる優れた技術ですが、「PGT-Aをすれば必ず妊娠できる」というわけではありません。正常(正倍数性)と判定された胚であっても、着床しないこともあります。それは、子宮内膜の状態や免疫環境、胚自体にわずかに含まれる異常など、染色体以外の要因が関係していることもあるからです。
 つまり、PGT-Aは「万全な検査」ではなく、「リスクを減らすための一手段」であるという理解が大切です。

 次章では、PGT-Aが対象とする「異数性」とは何か、なぜ重要なのかを基礎から整理していきます。

異数性とは?

 この章では、PGT-Aで検出される「異数性」とはどのような状態か、そしてその医学的な意味について、基礎的な内容をやさしく解説していきます。モザイク胚を含む判断の難しさにも触れながら、PGT-Aが対象とする課題の本質を見ていきましょう。

正常な染色体とは

 人間の体細胞には、22対の常染色体と1対の性染色体(XXまたはXY)、あわせて46本の染色体が存在します。これを「正倍数性(euploid)」と呼びます。 
 卵子や精子といった生殖細胞では、減数分裂によって染色体が23本に減ることで、受精時に正確な遺伝情報が維持されます。

異数性とは?

 異数性とは、染色体の数に異常がある状態を指します。もっともよく知られるのは、21番染色体が3本ある「21トリソミー(ダウン症候群)」です。
 体外受精で得られる胚のなかには、見た目が良好でも染色体に異常がある胚(異数性胚)が相当数含まれていることがわかっています。
 異数性があると、

  • 着床に至らない
  • 着床しても妊娠継続できない(流産)
  • 重篤な出生異常を伴う

といったリスクが高くなります。

モザイク胚という存在

 PGT-Aでは、完全な異常(全細胞が異数性)の胚だけでなく、「モザイク胚」も検出されます。これは、一部の細胞が正常染色体を持ち、他の一部が異数性である状態です。
 以前はモザイク胚も異常胚とみなされ、原則として移植対象外とされてきましたが、PGDIS(国際着床前遺伝子診断学会)は2019年の声明において、適切な情報提供とリスク評価を前提に、モザイク胚の移植を容認できる可能性があると明言しています。特に、モザイクの程度(異常細胞の割合)や関与する染色体の種類によって「低リスクモザイク」「高リスクモザイク」と分類され、低リスクモザイク胚は、正常胚が存在しない場合の移植候補とされることもあります。
 PGDISの立場では、モザイク胚に関する判断は、染色体の種類・モザイク率・検査技術の特性を十分に考慮し、患者への適切なカウンセリングを行ったうえで行うべきだとされています。
 そのため、PGT-Aによって胚の質を単純に「正常/異常」で割り切るのではなく、より複雑な“グラデーション”のある判断が求められるようになってきています。

正常胚を選ぶということ

 PGT-Aの目的は「異常胚を除外する」だけでなく、「正常(あるいはそれに準ずる)胚を選択する」ことにあります。着床・妊娠・出産の確率を高めるうえで、染色体レベルの情報は、肉眼や形態評価ではわからない“見えない質”を可視化する手段なのです。
 しかし、その判断は「白か黒か」ではありません。とくにモザイク胚の扱いには、技術的な限界や予測精度の幅、倫理的な判断が伴います。これこそがPGT-Aの難しさでもあり、必要性を考える上で重要な論点です。

 次の章では、実際にPGT-Aによって何が改善される可能性があるのか、どんな効果が期待されているのかを、研究結果をもとに見ていきます。

PGT-Aのメリットと限界

 ここからは、PGT-Aによって実際にどのような変化がもたらされるのか。科学的な研究データに基づいて、着床率や流産率、生児出産率への影響についてお示しします。

メリット①:流産のリスクを減らす可能性

 流産の主な原因のひとつが「胚の染色体異常(異数性)」です。高齢になるほど卵子の染色体分配に乱れが生じやすく、異数性胚が増える傾向にあります。PGT-Aによって胚の染色体異常をあらかじめ検出することで、異数性の胚を避けた移植が可能になり、流産リスクが軽減される可能性が示唆されています。

メリット②:着床率を改善する可能性

 染色体に異常をもつ胚は、そもそも子宮に着床できないか、着床してもすぐに成長が止まってしまうケースが多くあります。そのため、あらかじめ正常な染色体をもつ胚を選別することで、1回あたりの胚移植における着床率の改善が期待されるのです。

実際の研究データでは?

 PGT-Aの有効性に関する最大規模のRCTの一つに、Yanら(2021)による研究があります。 この研究では、PGT-Aを実施した群と行わなかった群の妊娠成績が比較され、

  • 流産率はPGT-A群で低下(23.1% → 15.6%)
  • 着床率も上昇傾向(46.6% → 54.2%)

という結果が報告されています。グラフに表すと次の通りです。

 グラフだとPGT-Aによって明らかに改善しているように見えますが、統計学的には有意差があるとは限らず、慎重な解釈が必要です。

統計学的な有意差とは
単なる「違い」ではなく、「偶然ではない差がある」と言えるかどうかを示す基準です。数字の差が見えても、サンプル数やばらつきによっては“偶然の範囲”と判断される場合があります。

 この研究では、胚が3個以上得られた症例ではPGT-A非実施群の成績が非劣性(むしろ同等)であったことも注目されます。すなわち、胚数が十分に確保できる症例においては、PGT-Aによる成績改善効果は限定的である可能性があるのです。

すべての人に有効とは限らない

 現在のエビデンスを総合すると、PGT-Aには以下のような前提条件や限界が存在します。

  • 良好胚が複数得られるケースでなければ適切な選別が難しい
  • 検査の精度にも限界があり、モザイク胚の扱いに不確実性がある
  • PGT-Aを行っても、出産率に差が出ないという研究結果もある(例:日本産科婦人科学会の統計)

 つまり、現段階でのPGT-Aは「すべての患者にとって一律に有効な技術」ではなく、症例に応じた慎重な適応判断が必要な検査といえます。

胚の“見えない質”を知るために

 PGT-Aの本質は、「形の良い胚=良い胚とは限らない」ことを教えてくれる点にあります。肉眼ではわからない染色体の異常が、着床や妊娠継続の結果に深く関わっているのです。そうした“見えないリスク”を把握するための手段として、PGT-Aは今後さらに議論が進むことが予想されます。


 こうした効果が得られる一方で、PGT-Aには限界や注意点も存在します。次章では、検査の持つリスクや判断の難しさについて詳しく見ていきます。

PGT-Aの限界と注意点

 ここまでは、PGT-Aがどのように役立つのか、その仕組みと期待される効果について見てきました。しかし、PGT-Aは万能な検査ではありません。この章では、誤判定のリスクや限界、倫理的な視点も含めて、「PGT-Aの現実的な弱点」についても率直に向き合っていきます。

限界①:正常と判定されても妊娠しないことがある

 PGT-Aで「正倍数性(染色体数に異常なし)」と判定された胚を移植しても、必ず妊娠・出産に至るわけではありません。実際、最新のメタアナリシス では、正倍数性胚を移植しても着床しない例が一定数存在することが報告されています。
 原因としては、

  • 子宮内膜の状態が不適切(着床の窓のずれなど)
  • 免疫学的・内分泌的な要因(例:慢性子宮内膜炎、Th1/Th2バランスなど)
  • 胚の細胞のごく一部に見逃された異常がある
  • 検査対象外の微細な染色体構造異常やエピジェネティクスの問題

などの要因が考えられます。
 つまり、PGT-Aは「妊娠の妨げとなる要因のひとつ=染色体異常」には対応できても、それ以外の問題には無力であるという限界があります。

限界②:胚が少ないと、検査ができない or 意味を持たないことも

 PGT-Aを行うには、胚盤胞まで育った胚が複数あることが望ましいとされています。
 なぜなら、たった1個しか胚が得られなかった場合、それを検査して異常が見つかれば移植自体ができなくなるからです。特にAMHが低下している方や高齢で採卵数が少ない方の場合、

  • 胚が1〜2個しかできなかった
  • 胚盤胞まで育たなかった
  • 凍結まで進まなかった

といった理由で、PGT-Aそのものが適応にならない、あるいは有効性が発揮されにくいという状況も少なくありません。また、胚盤胞を生検して検査を行うという手技自体が、胚にストレスを与える可能性も指摘されています。

限界③:偽陰性・偽陽性やモザイク胚の判断の難しさ

 PGT-Aは非常に精密な検査である一方で、誤判定(false negative/false positive)のリスクもあります。

  • 偽陰性:本当は異常があるのに、正常と判定されてしまう
  • 偽陽性:本当は正常なのに、異常と判定されてしまう

 特に「モザイク胚(正常と異常の細胞が混在)」の場合、胚盤胞の外側(栄養外胚葉)の細胞のみを検査しているため、胚の中心部分(将来胎児になる内細胞塊)の状態までは分からないという限界があります。
 このため、「異常と判定されたが実は出産できた」という症例や、逆に「正常とされたが妊娠しなかった」という例も報告されています。

限界④:社会的・倫理的な論点

 PGT-Aは、医療技術であると同時に、人間の生殖や遺伝情報にかかわる高度に倫理的な判断を含みます。たとえば、次のような観点が指摘されています:

  • 特定の胚を選別することに対する「優生思想」への懸念
  • 遺伝的「選別」や「ふるい落とし」への社会的誤解
  • 性別選択など、社会的な誤用の可能性

 こうした背景から、PGT-Aの導入に際しては社会的合意形成が不可欠とされてきました。実際、日本産科婦人科学会の見解や制度設計の議論においても、こうした倫理的・社会的な課題が議論されています。
 PGT-Aを希望する際には、単に「検査を受けるかどうか」だけでなく、その意味や背景について医師と十分に話し合うことが強く推奨されます

限界⑤:費用が高額になりやすい

 PGT-Aは現時点で保険適用外です。そのため、PGT-Aを実施すると、

  • 採卵・培養・胚盤胞への育成
  • 胚盤胞の生検・凍結・輸送
  • 遺伝子解析
  • 再融解・移植・薬剤

など、すべての工程が自費負担となり、合計で40〜70万円前後になることもあります。
 PGT-Aにはたしかに有益な面がありますが、「誰が受けても意味がある検査」ではありません。年齢、治療歴、胚数、経済的・心理的な背景などを総合的にふまえ、「それでもやる意味がある」と思える人が選ぶべき検査であると言えます。

 PGT-Aを活用するかどうかは、こうしたリスクとメリットの両方を理解したうえでの選択が求められます。次の章では、実際にPGT-Aが「向いている人」「そうでない人」について、臨床的な視点から考察していきます。

PGT-Aが向いている人/そうでない人は?

 PGT-Aの特徴や限界をふまえたうえで、ここでは「どんな人にPGT-Aが向いているのか、あるいはそうでないのか」について掘り下げます。あくまで一律の結論ではなく、個別の状況に応じた判断が大切です。

PGT-Aを検討する価値がある人

  • 40歳以上で染色体異常のリスクが高いと考えられる人
  • 流産を複数回経験しており、原因が特定できていない人(反復流産)
  • これまで胚移植をしてもなかなか着床に至らなかった人(反復着床不全)
  • 良好な胚が少なく、「1個でも確実性を上げたい」と考える人

 特に4つ目の条件については、2021年にNew England Journal of Medicineに掲載されたYanらによる大規模なRCTの結果から、重要な示唆が得られています。
 この研究では、PGT-A群と非PGT-A群で生児出産率に有意差はなかったものの、良好胚(形態的に優れた胚)が3個未満しか得られなかった症例では、PGT-A群の方がやや良好な成績を示す傾向がありました。つまり、胚の選択肢が限られているケースにおいては、PGT-Aによって確実性の高い胚を選べることが、結果として妊娠・出産への近道になる可能性があるのです。

PGT-Aを積極的にすすめにくい人

  • 35歳未満で卵巣機能に大きな問題がない人
  • 1回の採卵で良好胚が3個以上得られる見込みのある人
  • 自然妊娠や体外受精での妊娠歴がある人

 こうした方々は、PGT-Aによって得られる追加のメリットが少ない可能性があります。
 むしろ「検査による胚の損傷リスク」や「費用の上乗せ」「移植までの時間の延長」といった負担の方が上回る可能性も否定できません。

大切なのは「いまの自分にとって必要か」を考えること

 PGT-Aは万能ではありません。
 とはいえ、「限られた胚で妊娠率を最大化したい」「流産のリスクを最小限にしたい」といった希望を持つ方にとっては、ひとつの大きな手がかりとなり得ます。自分の年齢、卵巣機能、これまでの治療歴などをふまえて、「やってよかった」と思える選択かどうかを見極めていくことが、最も納得感のある判断につながるのではないでしょうか。

 PGT-Aはすべての人にとって最適な手段とは限りません。検査の目的と費用、その結果がもたらす影響をよく理解したうえで選択することが重要です。次の章では、費用や保険・補助制度といった「現実的な負担と制度的な選択肢」について整理していきます。

制度と費用について

 ここでは、PGT-Aの費用感や、先進医療B・自治体の助成制度といった制度面について、現在の日本の状況をふまえて整理します。「受けたい」と思っても、実際のハードルが高いと感じる方も多いため、検査の現実的な選択肢を知るための章です。

PGT-Aの費用

 現在、PGT-Aは全額自己負担の自由診療として提供されており、その費用は以下のように構成されています。

費用項目金額の目安説明
胚1個あたりのPGT-A検査費用55,000~150,000円検査機関や委託契約内容により変動
胚の生検(切り出し・検体作成)・検査報告50,000~100,000円凍結・輸送・検体管理など含む
凍結保存・融解・再移植費100,000~200,000円保険外部分。移植薬剤・ホルモン補充も含むことあり

 このように、PGT-Aそのものは1胚あたり5〜15万円程度ですが、全体のプロセスを含めると、1周期で20〜40万円台になることも珍しくありません。
 特に「複数胚を検査する場合」や「再移植の回数が増える場合」は、費用がかさむ傾向にあります。

自治体による助成制度(2025年6月現在)

 一部の自治体では、PGT-Aを含む特定不妊治療に対して、独自の助成制度を設けています。以下はその一例です。

【三重県・多気町】

  • 事業名:着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)を含む特定不妊治療費助成事業
  • 助成額:治療1回(採卵~胚移植)につき30万円以内(胚移植のみ17万5千円以内)
  • 回数制限:保険適用及び保険適用終了後の特定不妊治療に対する回数追加事業の回数と合算して通算8回まで

【三重県・津市】

  • 事業名:特定不妊治療費助成制度
  • 助成額:先進医療部分の治療費の70%(上限5万円)。PGT-Aへの助成は、先進医療B実施施設として登録された一部施設で実施した場合のみ

PGT-Aは「先進医療B」として臨床試験中

 2025年5月1日、PGT-Aが先進医療Bとして認定されたことが、厚生労働省より告示されました。
 このことにより混合診療が認められ、PGT-A検査費用自体は自費ながらも、それに関連する採卵・胚培養・移植準備などの行為には保険が適用されることになります。しかしこれは、将来の保険適用を見据えた臨床試験としての制度運用です。
 臨床試験としてのPGT-Aが対象となるのは、有効な保険適用回数が残されている、流産歴(胎嚢以上が観察された臨床妊娠の流産)が2回以上または体外受精の胚移植で2回以上陰性であるほか、いくつかの条件に合致する場合であり、実施可能な医療機関も先進医療B実施施設として登録された一部施設に限定されます。
 また、臨床試験には明確な目標症例数(153例)が設定されており、すでに定員を上回る申し込みがあって募集を締め切っている可能性が高いようです。
 つまり、現在PGT-Aはようやく臨床試験のステージに入って、本当に日本の医療制度に適した検査かどうかを検証している段階であり、現時点ではまだ限定的な制度下での検査に過ぎないのです。したがって、「誰でも希望すれば安価に受けられる」といった状態ではないということです。
 この先、試験の成績が良好であれば、保険適用を含めた制度化に向けて議論が進むかもしれません。

経済的な現実も含めて、慎重に検討を

「結果を少しでも確実にしたい」という気持ちは自然なものですが、PGT-Aには費用負担や選択のハードルが高い現実があります。そのうえで、自分の年齢や胚の数、これまでの治療歴をふまえ、「今の自分にとって本当に必要かどうか」を見極めていくことが重要と言えるでしょう。

 PGT-Aの利用には経済的・制度的な壁がある一方で、今後の臨床研究や制度の進展によって、より多くの人が選べる選択肢になる可能性もあります。最後に、全体を振り返りながら、納得できる選択とは何かをまとめていきましょう。

さいごに

 PGT-Aは、目に見えない“染色体の異常”を可視化する技術です。
 着床率や流産率に関わる大きな因子を事前に調べられる一方で、すべての人にとってメリットがあるわけではありません。

「年齢的に可能性を少しでも高めたい」
「移植のたびに陰性が続いてしまう」
「流産をくり返して、次に進むのが怖い」

 そう感じたとき、PGT-Aという選択肢が「納得につながる可能性があるか」を考えてみる価値はあります。
 ただし、検査には費用やリスク、制度的な制限があります。必ずしも万能ではないからこそ、「やる/やらない」を焦らず判断するために、信頼できる情報と、話を聞いてくれる医療者の存在が必要です。
 じねん堂は、治療の過程で「何を選び、どう納得するか」が、結果以上に重要な意味を持つと感じています。
自分の状態を知ることは、不安ではなく「判断の軸」を手に入れることにつながるのです。

 PGT-Aもまた、“その一助”となる可能性のある手段のひとつ。

 この記事が、あなたの選択を支える材料になれば幸いです。

本記事では、PGT-Aに関する複雑な医療情報を、なるべく正確かつわかりやすくお伝えすることを心がけました。とはいえ、執筆者は医師ではなく鍼灸師です。鍼灸師の職域を越えた内容が含まれていることもあり、どれほど丁寧に調べて書いたつもりでも、その信頼性には限界があります。情報は“参考”として受け止めていただき、最終的な判断や詳細は医療機関で確認することを強くおすすめします。

【参考文献】
不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-A・SR). 公益社団法人日本産婦人科学会ホームぺージ. 更新2024/10/15. https://www.jsog.or.jp/medical/886/, 参照2025/6/15.
Gleicher N, Albertini DF, Barad DH, Homer H, Modi D, Murtinger M, Patrizio P, Orvieto R, Takahashi S, Weghofer A, Ziebe S, Noyes N; International Do No Harm Group in IVF (IDNHG-IVF). The 2019 PGDIS position statement on transfer of mosaic embryos within a context of new information on PGT-A. Reprod Biol Endocrinol. 2020 May 29;18(1):57.
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先進医療の各技術の概要. 厚生労働省ホームページ. 更新2025/5/1. https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html, 参照2025/6/15


費用

会員施術料 4,950円
一般施術料 6,600円
初回料別途 2,200円

その他オプション・割引あり
初回60~90分程度
2回目以降45分程度

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 土  9時ー15時
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 鍼による施術は痛みや出血を伴う場合があります。また、以下のような場合、施術による変化が現れにくかったり、症状の“もどり”が早かったり、施術期間が⻑期に及んだり、施術することをお断りしたりすることがあります。鍼にはネガティブな側⾯があり、万能でもないことをご承知おきください。

構造上の問題による痛み
重篤な疾患による痛み
強⼒なあるいは多種の薬剤服⽤
⾼齢・衰弱による⽣理機能の低下
取り除けない物理的刺激要因
各種⼼理的要因

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アクセス

〒514-1105 三重県津市久居北口町15-7
近鉄久居駅より徒歩15分/伊勢自動車道久居ICより車で5分
駐車スペース常時2台分あり
※看板がありませんのでご注意ください

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