蕁麻疹(じんましん)と鍼灸施術について

蕁麻疹(じんましん)とは

 蕁麻疹は、皮膚に赤みを伴った膨疹が突然現れ、激しいかゆみを引き起こす皮膚疾患です。
 通常、膨疹は数時間で消失しますが、急性の場合は6週間以内に収まり、慢性の場合は6週間以上続くことがあります。蕁麻疹は免疫系が原因であることが多く、アレルギー反応や外的な刺激、薬物などによって引き起こされます。また、原因が特定できない特発性蕁麻疹や、運動や体温の変化によって発症するコリン性蕁麻疹など、さまざまなタイプがあります。
 蕁麻疹の治療には一般的に、抗ヒスタミン薬の使用が推奨されます。抗ヒスタミン薬は皮膚でのヒスタミン放出を抑制し、かゆみや膨疹を緩和します。重症例ではステロイド薬が短期間使用されることもあります。
 

蕁麻疹(じんましん)に対する鍼灸

 蕁麻疹に対する治療法として、鍼灸は古くから用いられてきました。多数の臨床研究においても、鍼灸は急性および慢性の蕁麻疹の症状緩和に効果的であると示唆されています。とくに急性蕁麻疹の場合、特定のツボ(例えば、曲池穴、血海穴、三陰交穴、足三里穴)に鍼を施すことで、90%以上の患者が症状の緩和を実感したと報告されています。これは、鍼によるツボへの刺激が血液循環や免疫機能に影響を与え、痒みを起こす物質であるヒスタミンの過剰な放出を抑えた結果であると考えられています​。一方、慢性蕁麻疹に対しては、一般的なツボへの鍼のほか、耳鍼と組み合わせる方法などが効果を示しています。耳鍼療法では、耳の特定のツボ(肺点、内分泌点、皮質下点、神門)を刺激することで自律神経のバランスを整え、症状の改善を図ります。慢性蕁麻疹には薬物療法が効果を上げ難い場合もあり、鍼灸が有効な代替療法となり得ます。また、大きな副作用がないことも利点の一つに挙げられています。

じねん堂の鍼灸

 蕁麻疹に対する鍼灸の手法として、じねん堂では主に董氏楊氏奇穴を採用しています。
 董氏楊氏奇穴は、​董景晶(1975没)によって世に公開(73名の弟子に伝授)されるまで漢の時代から長きに亘って董家に伝わる一子相伝の奥義だった董氏奇穴を、弟子のひとりである楊維傑が中心となって体系付けしたものです。成立の古さや医家の秘伝であったことなどから、鍼灸の原典である黄帝内経で主に述べられている施術に近い手法だと考えられています。
 董氏楊氏奇穴の特徴として第一にあげられるのは、患部に鍼を刺入しない遠隔施術である点です。身体を巡る “気” の経路である経絡同士の関係や、740余の独自のツボ(奇穴)を利用して患部から離れたポイントを刺激することで、種々の生理反応を引き出します。また、症状によっては刺血・刺絡といって、皮膚に微小な傷をつけて血(けつ)の滞りを除去する手法も用います。蕁麻疹の場合も、患部に鍼を刺すのではなく、患者の状態に応じて、手足や耳のツボを使って施術が組み立てられます。
 また、お灸を行うこともあります。痒みに対するお灸の場合、(痒みの原因にもよりますが)温灸のようなポカポカと温める種類のお灸をすると痒みを強くしてしまいかねません。痒みを抑えるには、特定のツボにチクリとした刺激感のあるお灸を比較的多く据える必要があり、じねん堂ではそれを実践しています。

施術の実例

 急性蕁麻疹の施術例です。
 来院5時間前、間⾷直後から発症し、頚部、胸部〜両上肢にかけての発疹・発⾚・強い痒みを⾃覚していて、痒み・⾚味とも来院時がピークの状態でした。
 ⽿と指に刺絡、太腿と指に鍼、肩と⾸の付け根にお灸をしたところ、発疹は腕にブツブツと残る程度となり、痒みも⼤きく改善したので、施術を終了しました。
 翌⽇連絡があり、「帰宅途中に痒みが完全になくなり、よく眠れた」とのことでした。
※事例紹介「蕁麻疹(じんましん)の痒みに刺絡を行った一例」

施術前後の比較

施術頻度・期間について

 急性蕁麻疹は単回の施術で終了することも少なくありません。再発した都度施術をする場合もあります。
 一方、慢性蕁麻疹は通常の薬物療法でも長期にわたっての治療が必要な場合が多いため、鍼灸も継続的に行うことが推奨されます。週に1〜2回の施術から始め、状態が安定するに従って頻度を減らしていくケースが多く、数ヶ月間の継続施術が必要になることもあります。施術計画は状態を見ながら柔軟に調整します。

 蕁麻疹の場合、急性・慢性に関わらず、必ず病院を受診してください。
 じねん堂は、1回の鍼で急性の蕁麻疹が改善する経験を何度もしていますが、再発する事例も同じくらい経験しています。蕁麻疹の再発を防ぐには原因を突き止めてその原因物を除去することが有効なのですが、散発的に鍼灸を受けている間に蕁麻疹が慢性化すると、元々の原因を特定することが難しくなってしまいます。原因を特定する検査は病院の領分です。また、蕁麻疹のほかに倦怠感や発熱、関節痛といった症状がある場合は、ほかの病気が潜んでいないか検査する必要もあります。
 鍼で蕁麻疹の症状が和らいだとしても、病院の受診は欠かさぬようお願いします。

さいごに

 蕁麻疹は生活の質を大きく低下させる疾患であり、特に慢性化した場合、薬物治療だけでは十分な効果を得られないことも少なくありません。鍼灸は、身体に大きな負担をかけず、薬物治療と併用することで相乗効果が期待できる場合もある代替医療のひとつです。
 じねん堂では、豊富な経験を持つ鍼灸師が、症状や体質に合わせた施術を提供しています。蕁麻疹にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。


基本施術料会員:4,950円
一般:6,600円
※学生・子供割引あり
初回料2,200円
特殊鍼法
【刺血・刺絡】
東洋医学の理論に基づき、生命の根源である「気」と「血」を動かすために特殊な鍼を用いて皮膚を切ります。少量の出血を伴います。いわゆる「瘀血性の痛み」に対して用います。 外科手術等の医行為を混同される方もいらっしゃいますが、法的にも認められた鍼の手法のひとつです。 
1回/1,100円
詳細は費用のページをご高覧下さい。

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 鍼による施術は痛みや出血を伴う場合があります。また、以下のような場合、施術による変化が現れにくかったり、症状の“もどり”が早かったり、施術期間が⻑期に及んだり、施術することをお断りしたりすることがあります。鍼にはネガティブな側⾯があり、万能でもないことをご承知おきください。

構造上の問題による痛み
重篤な疾患による痛み
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⾼齢・衰弱による⽣理機能の低下
取り除けない物理的刺激要因
各種⼼理的要因

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※看板がありませんのでご注意ください

【参考】
蕁麻疹診療ガイドライン2018
Chen CJ, Yu HS. Acupuncture treatment of urticaria. Arch Dermatol. 1998 Nov;134(11):1397-9.

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