【2025年最新】父親の年齢と精子DNAの変化:子どものリスクは増えるのか

父親の年齢は、子どもの健康に影響するの?
 この疑問に答えるために、2025年の研究では、24〜75歳の男性の精子81検体が、NanoSeq(ナノシーク)という、とびきり精度の高い方法で詳しく調べられました。
 結果、年齢とともに遺伝子の意図せぬ変化が積み上がることに加えて、精子づくりの途中で同じ変化を持つ“一族(クローン)”の比率が上がる(正の選択)現象が、広い範囲の遺伝子で見つかりました。つまり、中年以降には“病気に関わる可能性がある変化”を持つ精子の割合が増えやすいことが分かったのです。
 今回は、精子に関する最新論文を、背景・方法・結果の順に分かりやすく解説します。

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目次

なぜこの研究が行われたのか

 私たちの身体の設計情報(DNA)は、長い年月のあいだに少しずつ「文字の打ち間違い」のような変化を溜め込みます。精子や卵子の系列(生殖細胞系列)に起きた変化は子どもに受け継がれ得るため、正確な実態把握が重要と考えられてきました。しかし、精子は多くの系統が混ざる集団(多クローン性)で、変化の頻度も低いため、その「ごく小さな偏り」を捉えるのが難題とされてきました。
 そこに光を当てたのが、ごくわずかな突然変異をも検出する高精度なDNA解析技術であるNanoSeqです。今回の研究ではこの解析方法によって、生殖細胞系列に起きる変化が詳らかになりました。

 私たちの身体の設計情報(DNA)は、長い年月のあいだに少しずつ「意図せぬ文字の変化(=変異)」を溜め込みます。生殖細胞系列(精子・卵子の系統)に生じた変化は子どもに受け継がれ得るため、父親の年齢が子どもの健康に関わり得ることは長らく指摘されてきました。とりわけ、精子をつくる過程で同じ変化を持つ“一族(クローン)”の割合が上がる「正の選択」が起こると、病気に関わる可能性のある変化が相対的に見つかりやすくなる懸念があります。
 しかし現状の知識には二つの大きな穴がありました。
 第一に、これまでの報告はごく限られた遺伝子に偏っており、正の選択が本当にどれだけ広い遺伝子で起きているのかがはっきりしていなかったこと。そして第二に、精子や精巣は多くの系統が混ざる集団(多クローン性)で、しかも一つひとつの変化の頻度は低いため、小さな偏りを網羅的に測ること自体が難しかったことです。

 そこに光を当てたのが、ごくわずかな突然変異をも検出する高精度なDNA解析技術である「NanoSeq」です。研究では、

  • どの遺伝子で、どんな種類の変化が増えやすくなっているかを、もれなく洗い出して全体像を明らかにする
  • 年齢と「意図せぬ文字の変化」の増え方を定量化する
  • その結果として“病気に関わる可能性がある変化”を持つ精子の割合がどの程度上がるのかを見積もる

という三つの目的を明確に掲げ、NanoSeqを用いて、従来見えにくかった低頻度の変化とその偏りの可視化が図られました。

何をどう調べたのか

 研究チームは、NanoSeqでごく低頻度の変化まで見落とさないよう解析しました。対象はゲノム(身体の設計情報の全体)とエクソーム(タンパク質レシピ)を含む広い範囲で、エクソームではコーディング変異(タンパク質レシピ本文に生じた意図せぬ文字の変化)を3万5千件超集計し、年齢が上がると文字の変化がどの程度増えるか、そして同じ変化を持つ一族(クローン)の割合が上がる現象である「正の選択」がどの遺伝子・どんなタイプにまで広がっているかを確かめました。

何が分かったのか

 解析の結果、大きく三つの事実が明らかになりました。

変化は年齢に比例して増える

 まず、精子の設計情報には年齢とともに増える文字の変化(※専門的にはDNA配列上の塩基置換や短い挿入・欠失)があり、直線的な関係として確かめられました。イメージとしては、精子ひとつ分あたり年1.67個ずつ、淡々と積み上がっていく感じです。体の細胞(血液)と比べると、その積み上がり方は約7.6分の1と緩やかですが、長い時間の中で確実に増えていく点は同じです。
 つまり、精子の設計情報に生じる「意図せぬ文字の変化」は、急に悪化するというより、年齢を重ねるにつれて静かに増えていくと言えます。

「比率が上がる」変化の起きる遺伝子は40種類31が新発見

 次に、“同じ変化を持つ一族(クローン)”が増える現象である「正の選択」が、想像以上に広い遺伝子で起きていることが分かりました。
 仕組みを一言で言えば、ある変化が幹細胞に選択上の優位(増えやすさ)を与え、内訳の中でその一族が目立ってくるということです。この“優位”を与える変化を「ドライバー変異」、その舞台になる遺伝子を「ドライバー遺伝子」と呼びます。あくまで偏りであって、精子の総数が増える話でも、受精しやすくなる話でもないことに注意が必要です。
 この偏りを統計的に示せた遺伝子は40種類で、31種類は新たに確認されたものです。また重要なのは、「働きを強める変化」だけでなく「働きが止まる変化」でも偏りが見られた点です。

働きを強める変化:遺伝子のスイッチが入りやすくなったり働きが過剰になるタイプ
働きが止まる変化(LOF):その遺伝子の働き自体が失われるタイプ

 遺伝子の具体例としては、KDM5B、MIB1、SMAD6、PRRC2A、NF1、PTPN11などが挙げられ、これらの多くで小児の発達に関わる障碍や癌の素因との関連が指摘されています。これら6遺伝子だけで「疾患に関わる偏り」の2割超を占めていました。つまり、ごく一部の要所に偏りが集中しやすいということです。

中年以降、「病気に関わる可能性がある変化」を持つ精子の比率が上がる

 本研究では、割合を二つの見方で示しています。

  • 病気に関わる可能性が高い変化:研究の判定基準で臨床的に問題となり得ると判断された集合。
  • 選択上の優位を与える変化(ドライバー変異):精子の“もと”となる細胞で、同じ変化の一族(クローン)の割合を押し上げる力を持つ性質。

  この二層で「意図せぬ文字の変化」をまとめて見ると、「病気に関わる可能性が高い変化」は30歳から70歳にかけて、その割合が2倍強に上昇していました(おおよそ2.0%→4.5%)。
 また、「選択上の優位を与える変化」に限ると、およそ0.5%から2.6%に増えていました。そして、この変化の約3分の2が、病気に関わる可能性が高い変化の基準も満たしていました。
 
ここで大切なのは、この上昇が多数のごく低頻度の変化の累積で説明される点です。単一の変化(ひとつの一族)が大規模に拡大しているのではなく、小さな変化が数多く重なった結果として全体の割合の上昇に現れています。

まとめ

  • 「意図せぬ文字の変化」は年齢に応じて直線的に積みあがる
  • “数”ではなく“内訳の偏り”が生じる
  • 病気に関わる可能性が高い変化が上昇
    病気に関わる可能性が高い変化が約2倍強に上昇し、選択上の優位を与える変化(=ドライバー変異)の約3分の2がその中に含まれる。
  • 上昇の内訳は、単一の変化ではなく、多数の低頻度の変化の累積
  • 変化が出生時のリスク増にそのまま直結するとは限らない(受精・胚発生でふるい落とされ得る)

 つまり、この研究によって、父親の年齢が上がるほど、「病気に関わる可能性のある遺伝的変化」を持つ精子の“割合”が高まることが、高精度解析で裏づけられました。とはいえ、それが出生時のリスク増に直結するとは限らず、現時点での解釈は慎重にすべきであると考えられます。

【参考文献】
Neville, M.D.C., Lawson, A.R.J., Sanghvi, R. et al. Sperm sequencing reveals extensive positive selection in the male germline. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09448-3


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