ある日、片耳が聞こえにくくなった。
キーンという耳鳴りがして、少しふらつく。
それはもしかすると、突発性難聴かもしれません。この病気は、前触れもなく急に起こる“耳のトラブル”です。現在の医療でもはっきりした原因はわかっていませんが、最近の研究で「耳の血管の異常」が関係している可能性が高いと考えられてきました。
今回は、2024年に発表された最新の医学レビュー「特発性突発性感音難聴:血管病変の寄与に焦点を当てたレビュー(都筑ら)」の内容を分かりやすく紹介します。
なぜ耳が突然聞こえなくなるのか
耳の奥の内耳と呼ばれる部分には、聴こえを感じ取る蝸牛(かぎゅう)や、平衡感覚を主る前庭があります。これらはとても繊細な組織で、「迷路動脈」という1本の細い血管のみから酸素や栄養を受け取っています。
この迷路動脈は、内耳への唯一の終末動脈であり、途中で他の血管からの“バイパス”が存在しません。そのため、ほんのわずかな血流障害でも、内耳の細胞はダメージを受けてしまうと考えられています。内耳の血のめぐりが悪くなることを内耳の虚血と言い、これが重症化すると、内耳への血流が途絶えた「内耳梗塞」と呼ばれる状態となります。
耳の血管にとってのリスク
都築らの報告では、突発性難聴と以下のような生活習慣病や循環器の病気との関連が報告されています。
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症(コレステロール・中性脂肪が高い)
- 心臓病
- 脳卒中の既往
内耳の血管はとても細いため、血液がドロドロしていたり、炎症があると詰まりやすいとされます。
「炎症」や「血液の性質」も関係している?
この報告では、NLR(好中球/リンパ球比)やPLR(血小板/リンパ球比)といった血液検査の数値が、突発性難聴の発症リスクや聴力の回復しやすさ(予後)に関係していることが示されています。これらの数値は、体内で起きている「炎症の強さ」や「血栓リスク」を反映する指標として、一般的に用いられています。
NLRは体内での炎症反応の強さを反映し、PLRは血栓リスクが高い状態を示すとされており、突発性難聴の患者は健常な人と比べて、NLR・PLRの値が有意に高いことが報告されています。また、その値が高いほど聴力の回復が乏しい傾向にあるようです。
これは、耳の奥にある細い血管で炎症や微小な血流障害が起きやすくなることを意味しており、「聴こえ」の問題が、全身の免疫や血管の状態と深く関わっている可能性を示唆しています。
全身の健康との関連
突発性難聴と脳梗塞との関連性も示されています。難聴のあとに脳梗塞を起こす人が多いというだけでなく、脳卒中を経験した人があとから突発性難聴になることもあります。さらに、頭部MRIで見つかる「白質病変(WML)」と呼ばれる脳の血流障害も、突発性難聴の回復の見込みに影響することがわかっています。
つまり突発性難聴は、「耳」病気でありながら、全身の血管や炎症状態を映し出すサインの可能性もあるのです。
血流改善に着目した治療法
現在、標準的な治療はステロイド(副腎皮質ホルモン)の内服や点滴ですが、近年は以下のような治療法も研究されています。
- 高気圧酸素療法(HBOT):高濃度の酸素を体に取り入れ、耳の血流を改善する
- プロスタグランジンE1(PGE1):末梢の血管を広げ、耳への血流を増やす薬
- デフィブリノゲナーゼ療法(DF療法):血液をサラサラにする治療(ただし出血のリスクあり)
- 水素ガス吸入療法:炎症や酸化ストレスを軽減する目的での新しい試み
いずれもまだ十分なエビデンス(科学的根拠)が揃っていませんが、「耳の血流」に注目した補助療法としての期待が高まっています。
さいごに
突発性難聴は、耳のトラブルにとどまらず、体全体の血流や炎症、ストレスの状態を映すサインかもしれません。だからこそ、「聞こえなくなった」ことを軽く見ず、早めに医療機関を受診することが大切です。
そして補完療法として、鍼灸を取り入れてみるのもひとつの方法です。
突発性難聴に対する鍼灸では、自律神経調整や、末梢の血流改善、ストレスの軽減といった作用が報告されています。三重県津市の「じねん堂はり灸治療院」でも、鍼灸と近赤外線(スーパーライザー)を併用した施術を用いて、耳周囲や自律神経に働きかけることで血流の改善を図っています。
突発性難聴でお悩みなら、三重県津市のじねん堂に、ぜひご相談ください。
【参考文献】
Tsuzuki N, Wasano K. Idiopathic sudden sensorineural hearing loss: A review focused on the contribution of vascular pathologies. Auris Nasus Larynx. 2024 Aug;51(4):747-754.

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