円形脱毛症はいつまで抜ける? ― 進行の目安と治療・受診のポイント ―

 円形脱毛症になったとき、多くの人が最初に抱くのは「髪はいつまで抜け続けるのだろう?」という不安です。 答えは一律ではありません。軽症なら半年〜1年で自然に回復することもありますが、重症型では数年以上にわたって抜け毛が続くこともあります。さらに「治ったと思っても再び抜ける(再発する)」ことも珍しくありません。 この記事では、日本皮膚科学会ガイドラインや海外のレビューをもとに、円形脱毛症の経過や原因、病型ごとの違い、治療や生活上の工夫について分かりやすく解説します。

目次

円形脱毛症はいつまで抜ける?

 髪の毛が抜け始めたときに最も気になるのは「この状態がいつまで続くのか」という点でしょう。ここでは、抜け毛が続く期間の目安や、個人差を生む要因について解説します。

脱毛が続く期間の目安

 日本皮膚科学会ガイドライン2024(1)や海外の大規模レビュー(2,3)によれば、円形脱毛症は経過に非常に幅があり、数か月で改善する人もいれば、数年以上にわたって抜け毛が続く人もいるとされています。

 軽症の単発型では、半年から1年以内に自然に髪が生えてくる人が一定数います。
 Villasante Frickeら(2015)の系統的レビュー(2)では、患者の約30〜50%が1年以内に自然回復することが報告されています。つまり、半分近い人が1年以内に改善する一方で、残りの半分は長引く可能性があるということです。
 一方、全頭型(頭髪がすべて抜ける型)や汎発型(体毛まで抜ける型)では自然回復はきわめてまれです。Darwinら(2018)のレビュー(3)では、これらの重症型の自然回復率は10%未満とされており、多くの人が数年以上にわたって脱毛に悩まされます。
 このように、円形脱毛症は「短期間で治る人」と「長期に及ぶ人」の両パターンが存在するのが特徴です。

自然回復と自然寛解
 本記事では円形脱毛症が治療せずに改善することを、「自然回復」という表現に統一して用いています。それは、読者に「治療をしていないのに髪が再び生えてきた」という現象を直感的に理解しやすくするためです。
 一方で、医学的な文献では「自然寛解(spontaneous remission)」という用語が使われます。こちらは「免疫の異常が収まり、病気の活動性が一時的に静まった状態」を意味します。

個人差を生む要因

 なぜこれほど個人差が大きいのでしょうか。
 ガイドラインやレビューによれば(1,2,3)、次のような因子が経過に影響します。

  • 発症年齢
    小児期や思春期の発症は慢性化しやすく、予後が悪いとされています。
  • 病型
    単発型は比較的経過が良好ですが、多発型は再発しやすく、全頭型・汎発型は難治性。蛇行型も慢性化の傾向があります。
  • 合併症
    甲状腺疾患やアトピー性皮膚炎など、自己免疫疾患を併発している人では長引くリスクが高い。
  • 爪の異常
    点状のくぼみなどの爪の変化は、予後不良因子とされています。

 これらの因子が重なると、抜け毛の期間は長くなりやすいことが知られています。

再発の多さ

 もうひとつ特徴的なのは「再発の多さ」です。たとえ髪が戻っても、数か月〜数年のうちに再び脱毛が始まる人は少なくありません。Villasante Frickeら(2015)のレビュー(2)では、長期的には患者の半数以上が再発を経験すると報告されています。
 つまり「治ったら終わり」ではなく、「治ってもまた出てくるかもしれない」というのが円形脱毛症の実態と言えます。

心理的影響

「抜け毛がいつまで続くのか分からない」「治ってもまた抜けるかもしれない」という不安は、患者の生活の質(QOL)を大きく損ないます。
 海外の調査(2,3)では、患者の半数以上が不安や抑うつを経験していると報告され、見た目の変化が自己評価や社会生活に影響することが示されています。とくに若年層では学校や友人関係に、成人では職場や家庭生活に影響が出ることが多く、「抜け毛の期間が読めないこと」自体が強いストレスとなると考えられます。

円形脱毛症の原因と免疫学的仕組み

 なぜ円形脱毛症では髪が長期間にわたって抜け続けるのでしょうか。
 その背景には「自己免疫」という体の防御システムの誤作動があります。

自己免疫疾患としての円形脱毛症

 免疫は本来、体を守る仕組みです。ウイルスや細菌などの外敵を攻撃することで私たちを健康に保っています。しかし円形脱毛症では、この免疫が誤作動を起こし、本来攻撃してはいけない毛包(髪を作る器官)を標的にしてしまいます(4)
 こうして毛包が攻撃されると、髪は成長期の途中でも一気に抜け落ちてしまいます。
 このような「自分自身の組織を攻撃する病気」を自己免疫疾患と呼び、円形脱毛症は関節リウマチや甲状腺疾患と同じグループに分類されます。

毛包免疫特権の崩壊

 毛包には「免疫特権」という特別な仕組みがあります。これは、体の一部を免疫の攻撃から守るバリアのようなもので、目や脳、精巣など一部の臓器にも存在します。毛包もこの免疫特権によって守られており、免疫の監視から外れているため、髪は安定して成長できるのです。
 しかし円形脱毛症では、この毛包免疫特権が壊れてしまいます。すると、免疫細胞のひとつであるCD8⁺T細胞が毛包を「異物」と誤認し、「NKG2D」というスイッチを通じて攻撃を開始します(5)
 これにより毛包の成長は止まり、毛は急速に抜けてしまいます。

サイトカインによる炎症の悪循環

 免疫細胞が毛包を攻撃すると、炎症を引き起こす物質=サイトカインが分泌されます。
 中でも重要なのはインターフェロンγ(IFN-γ)とインターロイキン15(IL-15)です。
 IFN-γは、さらに多くの免疫細胞を呼び寄せ、炎症を強化しします。そしてIL-15は、免疫細胞の働きを長く持続させ、攻撃をやめさせません。この二つが互いを刺激し合い、炎症の悪循環を作り出すことで「抜け毛が長く続く状態」が維持されるのです(4,5)
 さらに近年は、Th17細胞とIL-17も病態に関わることが報告されています。Th17は炎症を引き起こす免疫細胞で、円形脱毛症では増加していることが観察されています。これも「抜け毛が止まらない理由」のひとつと考えられます(4)

遺伝的要因

 なぜ円形脱毛症になる人とならない人がいるのか。これには遺伝の影響が関わっていることが分かっています。
 2010年のNatureに掲載された大規模ゲノム解析研究(6)では、円形脱毛症と関連する複数の遺伝子領域(遺伝子座:特定の遺伝子や遺伝子マーカーが存在する染色体上の特定の場所)が同定されました。その中には以下のようなものがあります。

  • HLA遺伝子群
    免疫の「司令塔」ともいえる遺伝子で、体が自己と非自己を区別する際の重要な役割を果たしています。これに異常があると、毛包を「自己ではない」と誤認しやすくなります。
  • CTLA4、IL-2、IL-21などの免疫関連分子
    CTLA4は「免疫のブレーキ」、IL-2やIL-21は「免疫のアクセル」に例えられます。これらをコードする遺伝子に変化があると、免疫のバランスが崩れやすくなり、毛包への攻撃が起こりやすくなります。
  • ULBP3/6
    ULBP3/6は「NKG2Dリガンド」という分子の一種で、毛包の表面に現れると免疫細胞(CD8⁺T細胞やNK細胞)に「ここを攻撃せよ」と伝える“ストレスサイン”のような役割を果たします。本来は毛包にはほとんど出ないのですが、円形脱毛症の患者では毛包にULBP3/6が異常に発現することが知られています。2010年のゲノム解析では、このULBP遺伝子群を含む領域(遺伝子座)が円形脱毛症のリスクと関連していることが分かりました。つまり、この領域に遺伝的な違い(SNPなど)があると、ULBP3/6が毛包に現れやすくなり、免疫細胞に誤って「攻撃対象」として認識される可能性が高まるのです。

発症に関わる環境因子

 遺伝子を持っているだけでは、円形脱毛症が必ず発症するとは言えません。多くの場合、ストレスや感染症、体調の変化が発症の引き金となります。

  • 強い精神的ストレス
  • インフルエンザなどのウイルス感染
  • 出産やホルモン変動
  • 季節の変化や生活リズムの乱れ

 こうした出来事が免疫のバランスを崩し、毛包免疫特権の破綻を招くと考えられています(3,4)

特殊なタイプ:びまん性脱毛型円形脱毛症(AA incognita)

 円形脱毛症のなかには、典型的な円形の脱毛斑が現れず、髪全体が急速に薄くなるタイプがあります。日本では「びまん性脱毛型円形脱毛症」と呼ばれ、海外の文献では「Alopecia areata incognita(インコグニタ型)」と記されています(8,9)
 このタイプは特に女性に多く、発症から数週間という短期間で広範囲に抜け毛が進むのが特徴です。初期には「休止期脱毛症」や「女性型脱毛症」と似て見えるため診断が難しいことがありますが、皮膚鏡では感嘆符毛や黄色点など、円形脱毛症に特徴的な所見が確認されることがあります(14)
 病理学的にも、通常型の円形脱毛症と同じく毛包周囲にリンパ球浸潤が見られ、自己免疫の関与が示されています(14)
 予後は比較的良好とされ、外用ステロイドなどで数か月以内に改善が見られる例もありますが、再発のリスクは残るため経過観察が必要です。

円形脱毛症の種類と進行パターン

 円形脱毛症といっても、すべての患者が同じ経過をたどるわけではありません。
 髪の抜け方や広がり方にはいくつかの型があり、その型によって予後(どのくらいで治るか、再発しやすいか)が異なります。
「自分はどの型なのか」を理解することは、将来の見通しを立てるうえで役立ちます。

主な病型の特徴

 円形脱毛症は次のように分類できます。

単発型・多発型

 頭皮に1か所(単発型)、あるいは複数か所(多発型)の円形の脱毛斑が出現します。
 最も一般的で、患者全体の70〜80%を占めると報告されています(1)
 多くは数か月から1年以内に自然回復することもありますが、多発型では再発や慢性化が目立ちます(1,2)

全頭型(Alopecia totalis)

 頭髪がすべて抜け落ちてしまう型です。自然に回復する例は少なく、自然回復率は10%未満とされています(3)。長期間にわたる治療や経過観察が必要で、心理的な負担も大きい型です。

汎発型(Alopecia universalis)

 頭髪だけでなく、眉毛、まつ毛、体毛まで抜けてしまう重症型です。自然に改善することは非常にまれで、治療をしても改善が難しい例が多いとされています(2,3)

蛇行型(ophiasis型)

 後頭部から側頭部にかけて帯状に脱毛が広がる型です。「耳の後ろから首筋に沿って」髪が抜けるのが特徴で、慢性化や再発を繰り返すことが多く、予後は不良です。

びまん性脱毛型円形脱毛症(Alopecia areata incognita)

 円形の脱毛斑が目立たず、髪全体がびまん性(全体的に広がるように)に抜ける型です。日本では「びまん性脱毛型円形脱毛症」と呼ばれ、海外文献では「Alopecia areata incognita(インコグニタ型)」とも表現されます(8,9)
 急速に広がるため、初期には休止期脱毛症や女性型脱毛症と見分けがつきにくいですが、皮膚鏡や病理で特徴的な所見が確認されれば診断が可能です。自然回復はある程度期待できるものの、再発のリスクがあるため長期的なフォローが推奨されます。

病型ごとの予後と抜け毛の期間

 病型によって、「抜け毛がいつまで続くか」は大きく変わります。

  • 単発型
    半年〜1年以内に改善することが多い。自然回復率は30〜50%とされる(2)
  • 多発型
    改善しても再発を繰り返す傾向。再発率は単発型の2倍以上との報告もある(2)
  • 全頭型・汎発型
    自然回復率は10%未満(3)。治療を行っても数年以上に及ぶ経過となることが多い。
  • 蛇行型
    慢性化の傾向が強く、数年以上持続することも多い。
  • びまん性脱毛型
    急速進行型。数か月の間に広範囲に及び、自然に治る例は少ない(8)

予後を悪化させる因子

 ガイドラインでは、次の要因が「予後不良因子」とされています。

  • 発症年齢が若い(特に小児期)
  • 爪の異常(点状のくぼみなど)
  • 発症から6か月以上改善が見られない
  • 全頭型・汎発型・蛇行型といった広範囲病型
  • 自己免疫疾患の合併(甲状腺疾患、アトピー性皮膚炎など)

 これらを持つ人は長期化・再発のリスクが高く、治療を行っても改善までに時間がかかる傾向があります。

抜け毛から髪の回復までの流れ

 円形脱毛症は「毛包そのものが壊れてしまう病気」ではありません。髪を作り出す幹細胞は残っているため、免疫の攻撃が収まれば再び髪を生やすことが可能です(5)。この点が、毛包が永久に失われる瘢痕性脱毛症と大きく異なるところです。

脱毛から再生までに観察される変化

 臨床的には、患者の頭皮で次のような経過がよく観察されます。

  • 脱毛直後
    成長期の毛が免疫の攻撃で突然抜け落ちます。抜け毛のスピードが速いため、多くの人が強い不安を感じます。
  • 毛がない時期
    毛包は一時的に活動を停止し、新しい毛が出てこない状態が続きます。この期間の長さには個人差があり、数週間で新しい毛が見られる人もいれば、数か月以上続く人もいます。
  • 細い毛の再生
    炎症が落ち着くと、まず白く細いうぶ毛(軟毛)が生えてきます。色素が入っていないため目立ちにくいのですが、これは毛包が再び活動を始めたサインです。
  • 太く色のある毛への変化
    時間の経過とともに、細いうぶ毛は次第に太くなり、色素が戻って通常の髪の毛に近づいていきます。

「新しい毛の出現」は、医師が治療効果を評価する際にも重要な観察ポイントとされています(3,7)

回復のサインに気づくには

 患者自身が気づける回復の兆しとしては、

  • 脱毛部にうぶ毛のような白い毛が出てきた
  • 時間の経過とともに毛に色が戻り、太さが増してきた
  • 脱毛斑の境界がぼやけ、小さくなってきた

といった変化があります。これらはいずれも「毛包が再び働き始めた証拠」と考えられています。

回復までにかかる期間

 髪の再生にかかる期間は病型によって異なります。
 単発型や多発型では数か月から1年以内に改善することが多く(1,2)、全頭型や汎発型では自然回復はきわめてまれで、治療を行っても数年以上の経過をたどることがあります(3)。また蛇行型では再発を繰り返すことが多く、長期化する傾向にあります。
 臨床研究では、SALTスコア(脱毛の範囲を客観的に評価する指標)などを用いて「どのくらい髪が戻ったか」が記録されており(7)、再生毛の有無や量は治療効果を判断するうえで重要な指標となっています。

心理的な側面

 髪が生えてきても再び抜けることがあり、「せっかく回復してもまた抜けるのでは」という不安は大きな心理的負担になります。
ただし臨床的には「再生と脱毛を繰り返しながら、最終的に安定するケース」も多いことが知られており(3)、この点を理解しておくと過度な不安を軽減できます。

医療機関で受けられる治療

 円形脱毛症の治療は「どのくらい症状が広がっているか」「発症からどのくらい時間が経っているか」によって選択肢が変わります。日本皮膚科学会ガイドラインや英国皮膚科学会ガイドラインでは、治療法ごとの推奨度が示されています。ここでは主要な治療をエビデンスに基づいて解説します。

ステロイド治療

 自己免疫疾患である円形脱毛症には、ステロイドが主要な治療薬となります。ステロイドには、炎症を抑えたり免疫を抑制したりする効果があります。

外用ステロイド

 もっとも基本的な治療とされています。脱毛斑が小さい場合に効果が出やすく、数か月で発毛が見られることがあります(1)
ただし、長期使用では皮膚が薄くなるなどの副作用があるため、医師の指導が必要です。

局所注射(ステロイド局注)

 小さな範囲の脱毛斑に直接ステロイドを注射します。発毛効果が確認されており、特に眉毛や頭部の小範囲に有効です(1)
一方で痛みが伴い、繰り返す必要があるため、実際には限られたケースで使われます。

内服ステロイド(パルス療法など)

 急速に進行する重症例で用いられることがあります。短期間で効果が期待できますが、糖尿病や高血圧、骨粗鬆症などの副作用があるため、長期的な使用は推奨されません(1)

局所免疫療法(DPCPなど)

 局所免疫療法とは、ジフェンシプロン(DPCP)やSADBEといった薬剤を皮膚に塗り、わざと軽い炎症を起こす治療です。これにより免疫の標的を毛包以外にそらし、毛包への攻撃を減らすと考えられています。
 効果は複数の臨床試験で確認されており、日本皮膚科学会ガイドラインでは推奨度1(強く推奨)とされています(1)
 ただし、かぶれや色素沈着などの副作用があるため、定期的な通院が必要です。

光線療法・物理療法

 紫外線(PUVA)、エキシマライト、レーザー照射などが用いられます。
 Jafariら(2024)の系統的レビュー(10)では「安全性は比較的良好だが、効果は限定的でエビデンスレベルは中等度」とされました。
 ガイドライン上では補助療法に位置づけられ、単独での強い推奨はありません。

JAK阻害薬(新しい治療の柱)

 近年注目されているのがJAK阻害薬です。免疫の炎症シグナルに関わる「JAK-STAT経路」をブロックし、毛包への攻撃を抑える作用があります。

  • バリシチニブ(Baricitinib)
    2022年に米国FDAで「重度の円形脱毛症」に承認。Vignoliら(2025)の実臨床研究では、52週時点で61.5%の患者が頭髪の80%以上を再生(SALTスコア20以下)しました(12)。まつ毛・眉毛の再生効果も確認されています。
  • その他(トファシチニブ、ルキソリチニブなど)
    Sunら(2025)のレビュー(13)では、多数の臨床試験で有効性が示されており、忍容性も概ね良好とされています。
  • 実臨床データ
    Vanら(2025)の72例の後ろ向きコホート研究(11)でも、多くの患者で発毛が確認されました。

 日本皮膚科学会ガイドライン2024においても、重症例に推奨度1(強く推奨)と明記されています。

その他の治療

  • ミノキシジル外用
    血流を改善する薬で、単独では効果が限定的ですが、他の治療と併用されることがあります。
  • 免疫抑制薬(シクロスポリン、メトトレキサートなど)
    重症例で使われることがありますが、副作用が強く、第一選択にはなりません。

円形脱毛症の治療は「どの型で、どのくらいの広さか」によって選択肢が変わります。
軽症例は外用や局所注射、慢性・重症例では局所免疫療法やJAK阻害薬が中心になります。

この章に記した治療法は、各ガイドラインを参考にリストアップしたものです。じねん堂が特定の治療を患者に指示するものではありません。治療については必ず医師の判断を仰いでください。

生活習慣・心理的サポート

 円形脱毛症は免疫の異常が中心的な原因ですが、日常生活の整え方や心理的サポートは、経過や回復に間接的に大きな影響を与えます。生活習慣や心のケアは直接の治療ではありませんが、症状の安定や回復の後押しにつながります。

体調を整える生活習慣

  • 睡眠と休養
    睡眠不足は免疫のバランスを崩し、ストレスホルモンを増やして炎症を悪化させます。規則正しい生活を保ち、十分な休養を取ることが基本です。特に「毎日決まった時間に眠る」ことは、自律神経を安定させる大切な習慣です。
  • 食事と栄養
    鉄分や亜鉛、ビタミンDの不足と脱毛との関連が報告されています(3)。ただし、特定の栄養素を大量に摂っても治るわけではありません。大切なのは「バランスの良い食事」を続けることです。毎日の食事で野菜・たんぱく質・炭水化物を偏りなく摂ることが、体全体の健康と髪の回復を支えます。
  • ストレスとの向き合い方
    強い精神的ストレスが円形脱毛症の発症や再発のきっかけになることは古くから知られています(3,4)。完全にストレスをなくすことはできませんが、「誰かに話す」「リラックスできる時間を持つ」などの工夫で心身の負担を軽減できます。

心理的サポートの重要性

 円形脱毛症は見た目の変化を伴うため、患者の心理に強く影響します。海外の調査(2,3)では、患者の半数以上が不安や抑うつを経験していると報告されています。
 若年層では学校や友人関係でのいじめや孤立が問題となり、成人では職場や家庭生活で「人目が気になる」ことが社会生活に影響を及ぼします。こうした負担を軽減するためには、家族や友人の理解に加え、心理カウンセリングや患者会といった「気持ちを共有できる場」が重要です。

外見の工夫

 脱毛そのものをすぐに止めることはできませんが、外見を工夫することは日常生活の安心感を支える有効な方法です。

  • ウィッグやヘアピース
    自然に見える製品も増えており、外出や仕事の場面で自信を持つ助けになります。
  • 帽子やスカーフ
    ファッションの一部として取り入れることで、気軽に気持ちを前向きにできます。

 これらは「隠すため」だけではなく、「安心して生活を送るための工夫」と考えることが大切です。

鍼灸が担える役割

 近年、補完医療としての鍼灸の役割も注目されています。鍼灸には以下のような作用が報告されています(4,5)

  • 自律神経のバランスを整える
    鍼灸は副交感神経を活性化して交感神経の過緊張を抑え、リラックスしやすい体の状態を作ります。
  • HPA軸(視床下部–下垂体–副腎系)の安定化
    HPA軸はストレスに反応してホルモンを分泌する仕組みです。鍼灸により過剰なストレスホルモン分泌が抑える可能性があります。
  • 血流改善
    鍼灸は局所や全身の循環を良くし、毛包への栄養供給をサポートすると考えられています。

 鍼灸は皮膚科治療を置き換えるものではありませんが、「体全体の調子を整えながら治療を続けたい」と考える患者さんにとって、安心感と補完的なケアを提供する選択肢となります。

いつ医療機関を受診すべき?

 円形脱毛症は、自然に治る人も少なくありません。しかし「どの型か」「どのくらい広がっているか」によって経過は大きく異なるため、医療機関を受診すべきタイミングを知っておくことはとても大切です。

受診が勧められるケース

 日本皮膚科学会ガイドラインでは、次のような場合に皮膚科を受診するよう推奨しています。

  • 脱毛が急速に広がっている
  • 半年以上改善が見られない
  • 全頭型・汎発型・蛇行型が疑われる
  • 爪に点状のくぼみなど異常がある
  • 小児・思春期に発症した
  • 甲状腺疾患やアトピー性皮膚炎など自己免疫疾患を合併している

 これらはすべて「予後不良因子」とされ、自然に治る確率が低いことが知られています。

早期受診のメリット

「もう少し様子を見よう」と思っているうちに症状が進んでしまうケースもあります。特に急速に広がる型では、発症から6か月以内に治療を始めるかどうかが経過を左右すると報告されています(1,3)
 早期に皮膚科で診断を受けることで、自分の型に合った治療を選べる可能性が高まります。

小児や若年層の場合

 小児や思春期の円形脱毛症は、長期化や再発のリスクが高いことが知られています(1)。また、学校でのいじめや対人関係に影響することも多く、心理的ケアと医療的対応を並行することが不可欠と考えられています。

円形脱毛症の抜け毛期間と治療のまとめ|早めの相談と根気が大切

 円形脱毛症は「いつまで抜け毛が続くのか」という問いに対して、一律の答えはありません

  • 軽症例では半年〜1年で自然に回復することがあります。
  • 重症例(全頭型・汎発型など)では数年以上にわたり症状が続くことも珍しくありません。
  • 再発は非常に多く、長期的に見ると半数以上の患者で再発が報告されています(2)

 円形脱毛症の背景には、毛包免疫特権の破綻と自己免疫反応の暴走があります(5)。遺伝的素因を持つ人がストレスや感染をきっかけに発症し、炎症の悪循環が続くことで抜け毛が止まりにくくなります。
 近年は、JAK阻害薬という新しい治療が現実的な選択肢となり(11,12)、多くの患者が髪を取り戻す例も報告されています。
 同時に、生活習慣の改善や心理的サポートも、治療を続けるうえで大きな支えになります。

 結論として大切なのは、

  • 「自然に治る可能性もあるが、長引くこともある病気」であると理解すること。
  • 早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けること。
  • 生活の工夫や心の支えを大切にすること。

 そして何より、焦らず根気よく向き合うことが改善への近道なのです。


【参考文献】
1) 日本皮膚科学会. 円形脱毛症診療ガイドライン2024. 日皮会誌. 2021;134(10):2491-2526.
2) Villasante Fricke AC, Miteva M. Epidemiology and burden of alopecia areata: a systematic review. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2015 Jul 24;8:397-403.
3) Darwin E, Hirt PA, Fertig R, Doliner B, Delcanto G, Jimenez JJ. Alopecia Areata: Review of Epidemiology, Clinical Features, Pathogenesis, and New Treatment Options. Int J Trichology. 2018 Mar-Apr;10(2):51-60.
4) Pratt CH, King LE Jr, Messenger AG, Christiano AM, Sundberg JP. Alopecia areata. Nat Rev Dis Primers. 2017 Mar 16;3:17011. 

5) Bertolini M, McElwee K, Gilhar A, Bulfone-Paus S, Paus R. Hair follicle immune privilege and its collapse in alopecia areata. Exp Dermatol. 2020 Aug;29(8):703-725.
6) Petukhova L, Duvic M, Hordinsky M, Norris D, Price V, Shimomura Y, Kim H, Singh P, Lee A, Chen WV, Meyer KC, Paus R, Jahoda CA, Amos CI, Gregersen PK, Christiano AM. Genome-wide association study in alopecia areata implicates both innate and adaptive immunity. Nature. 2010 Jul 1;466(7302):113-7.
7) Olsen EA, Roberts J, Sperling L, Tosti A, Shapiro J, McMichael A, Bergfeld W, Callender V, Mirmirani P, Washenik K, Whiting D, Cotsarelis G, Hordinsky M. Objective outcome measures: Collecting meaningful data on alopecia areata. J Am Acad Dermatol. 2018 Sep;79(3):470-478.e3.
8) Molina L, Donati A, Valente NS, Romiti R. Alopecia areata incognita. Clinics (Sao Paulo). 2011;66(3):513-5.
9) Rodríguez-Tamez G, Maskan-Bermudez N, Tosti A. Alopecia Areata Incognita: Current Evidence. Dermatol Ther (Heidelb). 2025 Mar;15(3):635-645.
10) Jafari MA, Bazgir G, Hosseini-Baharanchi FS, Jafarzadeh A, Goodarzi A. Efficacy and Safety of Laser Therapy and Phototherapy in Cicatricial and NonCicatricial Alopecia: A Systematic Review Study. Health Sci Rep. 2024 Nov 4;7(11):e70180.
11) Van Helmond SC, Willaert M, Nguyen VH, Nijsten T, Waalboer-Spuij R, Hijnen D. Real-world Effectiveness and Safety of Janus Kinase Inhibitors in Alopecia Areata: A Retrospective Cohort Study of 72 Patients. Acta Derm Venereol. 2025 Apr 7;105:adv42990.
12) Vignoli CA, Gargiulo L, Ibba L, Balato A, Barbareschi M, Barruscotti S, Bazzacco G, Bellinato F, Bianchi VG, Boccaletti V, Caposiena Caro RD, Ferrucci SM, Fraghì A, Fulgione E, Gallo G, Gisondi P, Giunipero di Corteranzo I, Malagoli P, Marzano AV, Mercuri SR, Orsini D, Quaglino P, Ribero S, Costanzo A, Narcisi A. Baricitinib for the treatment of severe alopecia areata: results from a 52-week multicenter retrospective real-world study. J Dermatolog Treat. 2025 Dec;36(1):2444494.
13) Sun Y, Li Q, Zhang Y, Liu Y. Janus kinase inhibitors for alopecia areata: a review of clinical data. Front Immunol. 2025 May 13;16:1577115.
14) Messenger AG, McKillop J, Farrant P, McDonagh AJ, Sladden M. British Association of Dermatologists’ guidelines for the management of alopecia areata 2012. Br J Dermatol. 2012 May;166(5):916-26.


円形脱毛症と鍼灸について

 円形脱毛症は「自己免疫の異常」と「ストレス」が深く関わる病気です。
 近年の研究では、

  • 鍼刺激は副交感神経を高め、交感神経の過剰な緊張を抑える
  • その結果、ストレスホルモン(コルチゾールなど)の分泌を安定させる
  • 血流改善を通じて毛包の回復環境を整える

といった作用が報告されており、鍼灸の、ストレスによる免疫の暴走を和らげる働きに期待が持たれています。

 もちろん鍼灸は皮膚科治療の代替ではありません。しかし、「薬の副作用が気になる」「再発が不安で、心身を整えながら治療を続けたい」「ストレスや緊張が強い」といった方にとって、鍼灸は補完的なケアとして有用な選択肢になり得ます。
 三重県津市の じねん堂はり灸治療院 では、免疫や自律神経の調整を意識した施術を提供しています。皮膚科の治療と並行して受けることで、より安心して治療に取り組むことができるでしょう。
 円形脱毛症の抜け毛や再発に不安を感じている方は、ぜひ一度 じねん堂はり灸治療院(三重県津市) にご相談ください。

費用

会員施術料 4,950円
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 鍼による施術は痛みや出血を伴う場合があります。また、以下のような場合、施術による変化が現れにくかったり、症状の“もどり”が早かったり、施術期間が⻑期に及んだり、施術することをお断りしたりすることがあります。鍼にはネガティブな側⾯があり、万能でもないことをご承知おきください。

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アクセス

〒514-1105 三重県津市久居北口町15-7
近鉄久居駅より徒歩15分/伊勢自動車道久居ICより車で5分
駐車スペース場常2台分あり
※看板がありませんのでご注意ください

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