石油ストーブには本当に加湿が必要ないのか

 巷ではインフルエンザが大流行しています。
 インフルエンザの予防と言えば、マスク、手洗いうがい、そして湿度の管理だということは、皆さんもご存知のことと思います。湿度が40%を下回るとインフルエンザウィルスが活発になると言われていて、一般的に、室内の湿度は40~60%が目安とされているのはご存じのことかと思います。
 じねん堂では石油ストーブを焚いていますので、やかんをのせて加湿に一役買ってもらっています。

 さて、ある日のこと、

石油ストーブに加湿は必要ない
それは、灯油が燃える時に水蒸気が発生するからだ。
やかんを置いていると、むしろ湿度が上がりすぎてしまう

このようなアドバイスを頂戴しました。

 テレビだかラジオだかで放送していたらしいのです。
 確かに、湿度は高すぎても都合が悪くて、60%以上になるとダニやカビが発生することが知られています。
 石油やガスを燃焼させることで、水蒸気が発生することも分かっています。灯油の場合、燃焼させた量と同程度の水が発生するのです。
 しかし、ストーブを焚いた部屋が乾燥して感じることがあるのも事実です。これは気のせいなのでしょうか。
 
 石油ストーブに加湿が不要なのは、本当なのでしょうか?

目次

検証

 疑問に感じた時は、身近なところから検証してみるのが大切です。

 1月某日のじねん堂。
 朝の湿度は測定限界(20%)以下。機器が無くとも明らかに湿度の低さを感じます。気温も10℃を下回って寒いです。
 

 ここから始業までに快適な温度まで室内を温めねばなりません。患者によっては裸になることもありますから、それなりの温度が必要です。
 やかん(蓋無し)をのせた石油ストーブを全開運転すると、ゆっくりと温度と湿度が上昇していきます。サーキュレーターも稼働させて室内の空気をかき混ぜます。

 すると、始業時には大抵、温度20度以上、湿度30%以上に到達します。それでも正直まだ乾燥している感があります。「加湿し過ぎ」には程遠い値です。

 もっともっと加湿したいところですが、石油ストーブの出力が大きいので、昼を過ぎると室温が上がりすぎてしまいます。うっかりしていると28度を超えることも。止むを得ず、ストーブの火力を絞ることになります。

 火力が絞られると困ったことに、やかんからの蒸発による加湿も(燃焼による水の生成も)少なくなってしいますから、あれよあれよという間に湿度は30%を割り込んでしまいます。

 つまり、ストーブだけなら言わずもがな、やかんを乗せても加湿具合は全然足りないのです。

 このような事態を避けるため、じねん堂ではやかんだけでなく加湿器も併用して室内の湿度を高めようとしています。

 併用で朝から運転すると、湿度40%台を確保することができます。

 外気の湿度が高い時には、50%を超えていきます。

 とはいえ、今シーズンはまだ60%を超えたことはありません。日によっては、加湿器2台体制にしなければならないこともあります。

 繰り返しになりますがじねん堂の場合、石油ストーブには加湿が不要だなんて、とんでもない話なのです。


 いかがだったでしょうか。

 テレビだかラジオだかでも、どこかで行われた検証結果を踏まえて、加湿器の必要が無いと発信されていたそうです。件の検証がどのような環境で行われていたかは分かりかねますが、仮に、一般的な個人宅の一室を想定したものだった場合、じねん堂の環境は

  • 待合室が玄関ホールを兼ねていて、玄関扉の気密性が低いために外気の状態の影響を受けやすい
  • 自宅兼施術所の施術所部分は18畳程度の広さ
  • 約5畳の施術室は通常、ドアを開けた状態で別途エアコンを運転

このあたりの条件が(エアコンから風が出ているのは朝と晩だけですけれど)一般的な個人宅の一室とは異なっていますから、乾燥した状態になっているのかもしれません。狭くて気密性の高い部屋であれば、石油ストーブに加湿は必要ないという結果が出る可能性もあるわけです。

 いずれにせよ、テレビやラジオの内容を鵜呑みにせず、湿度計を用いるなどして自分(の家・部屋)にも当てはまるのかどうか検証してみることは必要だと思います。条件が違えば、結果も違ってくるのですから。

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