四十肩・五十肩

◆ あなたは、このような症状でお困りではありませんか?

  • いつのころからか腕を動かすと肩に違和感がある
  • 肩がずきずき痛む
  • 夜中や明け方に肩の痛みで目覚めてしまう
  • 肩全体が痛く、ここというポイントが分からない
  • 腕を動かすとふとした拍子にズキッとする
  • 腕を挙げると肩が痛い・痛くて上がらない
  • 腕を挙げると一定の範囲で強く痛む
  • 髪をとかせない
  • エプロンの紐を結べない
  • 腕を持ち上げようとすると肩をすくめる様に挙がってしまう
  • 痛みはなくなったが動きが制限されている

あなたは、いわゆる四十肩・五十肩と呼ばれる状態かも知れません​


 四十肩・五十肩は、個人個人で痛みや不調の出方に大きな違いがあります。

 違和感で済む人もいれば、放っておくうちに激痛にまで進んでしまう人もいます。放っておいて良くなっていく人もいれば、いつの間にか腕が挙がらなくなくなってしまう人もいます。2週間で痛みがなくなる人もいれば、2年間痛みを引きずる人もいます。
 レントゲン検査で骨に異常がなくても、それを理由に痛み止めで様子を見るよう指示されて、言われたとおりにしていても、やっぱり痛い。動かしづらい。周りには理解されにくいし、近所の整骨院や整体・マッサージに行っても変わらない。

 どうしたらよいのか分からず、途方に暮れているのなら、ぜひ、じねん堂にお越しください。

 じねん堂は、どのような状態の四十肩・五十肩に、どのような働きかけをすれば良いかを知っています。お話をうかがい、必要な検査をし、あなたの肩の状態をしっかりと観察します。そして必要に応じて、血流を促し痛みを和らげる鍼と、適切な運動療法を用いて、あなたの症状に対応します。もちろん、その対応の中には、鍼灸施術では変化を得られない、あるいは鍼灸以外の手法の方が適切だと判断し、施術をお断りすることも含まれています。

 じねん堂は、鍼灸で対応できることであれば全力で施術し、対応できかねるものであれば徒に通院を促さない、知識と技術と誠実さを兼ね備えた鍼灸院です。

施術の実例

 じねん堂で実際に行っている施術を紹介します。

四⼗肩・肩から腕にかけての痛みとダルさ

 30代 ⼥性。
 1ヶ⽉ほど前から、特に思い当たる原因無く左肩から⼆の腕にかけてのだるい痛みを感じ、整体(整骨院による偽装整体院?)で四⼗肩と⾔われたとのこと。
 肩関節の可動域(腕を挙げたり後ろに回したりできる範囲)は問題なかったですが、動かした際に重たい感じや詰まった感じを自覚していました。痛みは肩関節そのものよりやや下。それもピンポイントではなく、上腕⼆頭筋(⼒こぶの筋⾁)の内側あたりが「ドーンとする」と訴えました。

 ふくらはぎの内側のツボに鍼をすると、腕が軽く上がるようにはなるものの、ドーンとした感じの“中⼼”が下に移動しました。痛みを追うように鍼を追加していき、痛みが無くなったのを確認したあと、鍼はそのままで時々腕を挙げ降ろししたり回したりしながら30分ほど時間を置きました。

整体院(あるいは整骨院)の施術では著効が無かった事例です。
鍼をすることで“⼀番”の痛みが⼩さくなると、その次、その次の痛みが⽬⽴ってきて、まるで患部が移動しているかのように思えることがあります。本事例では四⼗肩(肩の痛み)をふくらはぎに鍼をすることで緩和しようとしていますが、その痛みをどこまで追っていくかは施術者の判断です。今回は全ての症状が消え去るまで鍼を追加しました。

五⼗肩(前と外側の痛み)

 50代男性。
 3ヶ⽉ほどまえから右肩関節痛を⾃覚した事例です。肩関節の前⾯と外側とに痛みがあって、腕を横に挙げていくと、90度くらいの位置で上腕に痛みが⾛るとのことでした。

【施術1回⽬】
 左肩と右⼿・前腕のツボに鍼をし、肩関節を運動させてみると、腕に⾛る痛みが2割程度に減少していました。ときどき肩関節を運動させながら20分が経過したころには、腕を挙げた時の疼痛は消失しました。
 まだ「関節の奥でコリッという⾳がして引っかかる感じ」が残っているとのことでしたが、1回⽬の施術はこれで終了としました。

【施術2回⽬】
 2週間後の来院。前回と同部位に同程度の痛みがあるのとのこと。
 前回の施術に加えて⼿のツボを追加すると、外側の放散痛は1割程度に減少しました。しかしやはり⾳と引っかかりは残りましたので、肩関節を運動させる際に関節の動きを軽く補助することとしました。
 この運動を⼀定時間ごとにくり返しながら20分。運動時の⾳・引っかかり共に無くなっていました。

痛みが和らいでも、「動かし⽅の悪い癖」まで解消されるとは限りません。
鍼と運動療法・機能訓練を組み合わせることで、より効果的な場合もあります。

じねん堂の施術データ

 じねん堂における肩の痛みに対する施術成績をグラフ化しました。五十肩・四十肩によく見られる「腕の挙がり難さ」の変化をまとめたものです。(※平成30年12月現在。五十肩・四十肩以外の事例を含む17名を調査)
 初回の施術前と施術後に、肩関節外転(腕を外側から挙げる動き)の「痛くてこれ以上挙がらない」位置を測定しています。“180”は、腕が耳に腕がつく状態、“90”は、腕が床と水平にまで挙がる状態です。

 施術後に全く痛み無く腕が挙がることもあれば、多少の違和感を伴いながらであることもありますが、多くの場合、少なくとも施術前なら痛みが出はじめていた位置までは、痛み無く挙がるようになっています。
 ただし、関節周囲の癒着が高度だったり筋肉の断裂が疑われたりする事例では、施術前後の変化が少ない傾向にあり、このような場合、鍼灸の適応でないほど重症であったり、そもそも五十肩・四十肩ではない可能性が高いです(これについては後ほど説明します)。

 とはいえ、一般的な五十肩・四十肩であれば初回では大きな変化が無かったとしても、多くの場合は施術を重ねるにつれて改善していきます

「先ずは相談だけ」でも結構です
お気軽にご予約ください

※相談のみの場合、初回料相当の2,200円を頂戴します

【費用】
会員施術料:4,950円
一般施術料:6,600円
初回料別途:2,200円
その他オプション・割引あり
健康保険取り扱い無し
免責事項に同意の上ご予約ください

ご予約はこちら

 

 

 

 

五十肩・四十肩とは

 中高年から増えてくる五十肩・四十肩。

 そのはっきりした原因は分かっていません

 五十肩・四十肩は、肩関節周囲の組織の退行性変化(加齢などによる衰え・形態の変化・機能低下)が基盤となった、明らかな誘因なく発症する肩関節の痛みと運動障害からなる疾患群と定義されています。(広義の五十肩)
 肩関節周囲の組織が軽微な外傷を繰り返すうちに、やがて肩の不快感や疼痛として発症するのではないかとも考えられています。

少し詳しく…

 肩関節は上腕骨、肩甲骨、鎖骨の3つの骨で支えられています。肩関節は特に大きく動く関節で、そのために肩甲骨関節窩(受け皿)が小さく、上腕骨頭のはまりは浅くなっています(図の青○)。ただ、このままだと構造的に不安定になってしまうので、関節包(関節を包む袋)や大小さまざまな筋肉が付着して強度を高めつつ、広い可動域を確保しています。また、力強く動作する大きな筋肉と、関節の動きを誘導する小さな筋肉群との連携も、肩関節の運動には重要です。大小さまざまな筋肉が協力し合うことではじめて、肩関節はスムーズに大きな範囲を動くことが可能なのです。

 ところが、その構造の複雑さのため、肩関節周囲は容易に損傷や炎症を起こしてしまいます。筋肉と骨とがこすれてしまったり、関節を覆う袋が硬くなったりするのです。そして、損傷や炎症の結果、筋肉同士の協力関係が破たんしてしまうことで、“動かした時の痛み”が出現します。
 さらに肩関節に起こった炎症が、滑液包(かつえきほう)と呼ばれる液体の入った袋に波及すると、関節から少し離れたところに「ここ!」といったポイントの無いズドーンとした痛みが出てきます。肩関節の炎症が滑液包や関節周囲の筋肉に広がった状態は肩関節周囲炎と呼ばれています(狭義の五十肩)。
 そして、炎症につきものなのが組織の癒着や肥厚(分厚くなること)です。癒着は傷口が絆創膏に張り付くようなイメージ。肥厚は傷跡が硬く盛り上がるようなイメージです。これらが起こると、関節の可動範囲が狭められてしまいます。炎症等が治まって痛みが無くなっても、関節の動かし難さが残るのは、こういった現象に因るのです。

五十肩・四十肩の症状(病期)

 人口のおよそ2~3%が罹ると言われている五十肩・四十肩。50代を中心に40~60代によくみられ、男性より女性に多いのも特徴です。
 五十肩・四十肩は、症状の推移から3つの病期に分類されています。

1.炎症期(Freezing phase)

 最も痛みの強い時期です。
 痛みにために着替えや入浴などが困難となり、夜間就寝中に痛みのせいで目覚めてしまうことがあります。
 この時期の運動制限は、痛みに対する防御としての要素が強く、真の関節拘縮は起こっていないと考えられています。

2.拘縮期(Frozen phase)

 関節の拘縮による運動制限が現れてきます。
 頭や腰の後ろに手を回す動作(結髪動作・結帯動作)が困難となります。肩関節の「回旋」が障害されることに因ります。炎症期のような強い痛みは少なくなり、関節の可動範囲の限界近くで生じる痛みが中心となります。経過が長くなってくると、肩関節周囲の筋肉が弱くなってしまうこともあります(廃用性萎縮)。

3.回復期(Recovery phase)

 関節可動域が次第に改善する時期です。
 痛みも可動域の回復に伴って軽減していきます。ただ、可動域制限は残存することが多いと考えられています。


 以上のように、病期によって現れる症状が違うということは、それぞれの病期に適した治療法(施術)があると、容易に想像できるかと存じます。
 では、どのような治療法(施術)があるのでしょうか。

推奨される3つの治療法

​ 科学的根拠に基づき推奨されている治療法(施術)を紹介します。いずれも、質の高い研究・論文が複数存在し、さらにそれらを比較したうえで有効性を認められているものです。
 なお、マッサージや物理療法(電気刺激など)単体では、 “どれをやっても同じ” 程度の効果しか得られないことが分かっています。骨盤矯正に至っては、比較の土俵にすら上がれない状況です。

1.関節内への注射とエクササイズの組み合わせ

 短期(4~6週)の疼痛軽減および機能改善には、副腎皮質ステロイド注射とエクササイズ(関節運動やストレッチ)の組み合わせが有効です。「病院へ行っても注射されるだけ」とおっしゃるかたもありますが、『注射+理学療法(運動療法・機能訓練)』が、先ずは最強の組み合わせと考えられています。
 理学療法の中には病院や整骨院でおなじみの物理療法(電気治療)も含まれますが、注射と物理療法の組み合わせでは効果が弱いか、効果があったとする報告が少ないか、信頼するに足る論文が無いかなのでしょう。
 個人的には、この段階こそ鍼の真価が発揮されるときではないかと考えています。痛みを抑えること。そして、血行を促して組織の治癒を助けること。
 早い時期であれば、鍼治療が疼痛軽減と機能改善に役立つはずです。病院での治療との併用をお勧めします。

2.鍼施術と理学療法(リハビリ)の組み合わせ

 理学療法(温熱療法・関節モビライゼーション・自動運動)単体と鍼による施術単体、そしてそれらの併用とを比較した結果、鍼による施術と理学療法との併用が、五十肩・四十肩の可動域・痛み・生活の質(QOL)の改善により効果的であったと分かっています。鎮痛や筋緊張の緩和、血流改善に優れた効果を持つ鍼と、関節を動かして癒着を予防・改善する理学療法を組み合わせることが、経過を長期的に場合には有効なのです。

関節モビライゼーション
施術者が患者の関節を可動範囲内で反復的に動かす運動のこと。急激な力は加えません。
自動運動
患者が自分で動作すること(⇔他動運動)。滑車を利用した自動運動による関節可動域訓練などが代表的です。

3.ストレッチエクササイズ

 患者の過敏性レベルに合わせた強度のストレッチエクササイズを指導することが推奨されています。“指導する”ということは、患者が自宅で行うホームプログラムでもあるということです。
 五十肩・四十肩の改善には、患者自身にも、病院・鍼灸院で「治してもらう」という受け身の姿勢でなく、積極的に改善の手立てを講じる積極性が求められるのです。もちろん、施術者側も“教えっぱなし”ではなく、定期的に監督する姿勢が必須です。

◆ 五十肩・四十肩の回復

 五十肩・四十肩は一般的に、1~2年の間に治癒すると考えられています。
 全く治療を行わなくても2年以内に正常に戻るという見解がある一方、最大回復までに30か月を要し、その後も過半数に可動域制限が見られるという報告や、回復は不完全であるという報告もあります。
 じねん堂において「かつて五十肩だったけど治った」と仰る患者様をみても、可動域制限が残っていることの多い印象です。
 つまり五十肩・四十肩は、日常生活に大きな支障は残さないものの、完全に治癒するとも言い切れない疾患なのです。これは揺るぎようのない事実であり、人間の身体の仕組み上やむを得ないことでもあります。

  1. 早期に炎症を鎮める
  2. 拘縮が起こらないよう、あるいは最小限に止められるよう運動療法を行う
  3. 廃用性萎縮や運動連鎖の破綻に対しては運動療法・機能訓練を行う

 完全な回復に少しでも近づけるためには、以上のようなことが大切であると考えられます。
 「根本原因を探して短時間で治す」などと喧伝する整骨院や整体院が散見され、あまつさえその根本原因を骨盤のゆがみに求め、骨盤矯正で五十肩を治そうとする事例まで存在しますが、四十肩・五十肩の病態を理解していないのではないかと感じています。そのような施設に長期間通って“治った”としても、それはおそらく、施術の影響の全くない自然治癒でしょう。

◆ 他院で良くならない理由

 結局は、五十肩・四十肩の病期に合わせた施術をしていないからということなのですけれど、もう少し細かく見ていきたいと思います。

1.痛みのある場所に鍼や電気やマッサージ

 痛みのある場所に鍼や電気やマッサージをすることで、その部分の炎症・損傷を強めてしまうことがあります。
 もちろん、痛みのある場所を鍼で刺激することによって治癒反応が引き出される利点もあるのですが、じねん堂で採用している董氏楊氏奇穴のように遠隔部に鍼をすることによっても、同様の反応を起こすことは可能です。そればかりか、こと鎮痛作用においては、遠隔部への鍼刺激のほうが脳から鎮痛物質を分泌させやすいといった旨の報告もあります。

2.骨盤矯正

 多くの場合、単体では意味がありません。
 五十肩・四十肩の原因は、決して骨盤の歪みではないですし、そもそも骨盤の構造は少々のことでは歪まないほど頑強なものなのです。
 ただ、骨盤全体の見た目の傾きを変化させてしまうような身体の使い方の癖が、肩関節周囲の炎症をひきおこす遠因にはなるかもしれません。そうであれば、身体各部位はそれぞれが影響しあっていますので、骨盤の見た目の傾きを是正することで肩関節への負担も減る可能性があります。
 とはいえ、負担を減らしたところで患部周辺の治癒に繋がるような生理反応が平常時以上に引き起こされるとは考えにくいです。また、身体の使い方自体が変わったわけでもないので、結局は元の状態へ戻ってしまいます。
 「鍼による施術と理学療法」に追加するのであれば、多少の意義があるかもしれませんが、もし骨盤全体の見た目の傾きが五十肩・四十肩の遠因ですらなかったら、骨盤矯正は全く意味の無いものとなります。

3.運動療法・機能訓練をしない

 理学療法の中でも、関節モビライゼーションやストレッチ、体操、筋力トレーニング、協調性訓練(関節を上手く動かす練習)などの運動療法・機能訓練は、五十肩・四十肩の改善にとても重要です。痛みの出やすい動かし方や、痛みを避けるうちに身についた悪い癖は、注射や鍼、電気、マッサージだけでは改善することができないからです。
 特に拘縮期以降では、運動療法・機能訓練が必須です。やらない理由がない。やらないなんて考えられない。それほど大切なのです。これをおろそかにしてしまうと、五十肩・四十肩の症状(病期)によっては「全然よくならない」ともなりかねません。

4.暴力的な手技

 「可動範囲が狭いから関節周囲の癒着を剥がす」などといって、鍼灸あんまマッサージ師や柔道整復師、あるいは整体師やカイロプラクターが、急激な力を加えたり強い痛みを伴ったりするような可動域訓練を行ってはなりません。なぜならば、その暴力的な手技で関節包(関節を包む袋)が破れたり、破れなくとも関節周囲の組織が損傷してより炎症を強くしてしまったりする可能性があるからです。
 もしこのような形で“悪化”させてしまったら、マッサージや整体では手の施しようがありません。鍼なら痛みを和らげることができるかもしれませんし、柔道整復師なら応急的な処置ができるかもしれませんが、いずれも本末転倒といえます。
 実際じねん堂の施術者も、出来るかどうかと問われれば、関節の運動方向をしっかりと考慮しつつ、強い可動域訓練が可能です。肩関節に限らず、あらゆる関節でそのような訓練を行っていたこともあります。ただしそれは、病院に勤務していた頃の話です。病院であれば、注射や薬によって“炎症のコントロール・痛みのコントロール”が可能だからです。
 バキっと無理やり腕を挙げて、その時は激痛だったけれど後から嘘のように腕が挙がるようになることもありますが、病院以外の施設で実行するのは治療ではなくて博打です。施術者の上手い下手の問題ではありません。

 拘縮が高度である場合は、鍼灸院や整骨院、整体院やカイロプラクティック院よりも、病院での治療の方が有効なことが多いです。たとえば、パンピング療法では、関節内に生理食塩水と局麻剤を注入して関節包を膨らませることで癒着を剥がします。癒着が剥がれれば関節の可動範囲が拡大するのはもちろんのこと、70~90%の割合で肩関節を動かした際の痛みが軽減すると言われています。ほかには、麻酔をかけた状態で徒手的に関節を動かして(関節マニピュレーション)癒着を剥がしたり、内視鏡などを使って、いわゆる手術で癒着を剥がしたりします。
 いずれも1回の治療で大幅な改善がみられる手法です。もし私が拘縮の強い五十肩・四十肩になったなら、迷わず病院での治療を選択します。

5.そもそも五十肩・四十肩ではない

 五十肩・四十肩でないものに五十肩・四十肩の治療をしていても、あまり改善は期待できないと思われます。
 肩の痛みを訴える疾患には五十肩・四十肩以外に、石灰性腱炎、腱板断裂、肩手症候群、頸椎疾患、絞扼性神経障害、肩の変形性関節症、腫瘍、内臓疾患からの関連痛などがありますが、なかには早急に病院での治療が必要なものや、緊急性はなくとも鍼やマッサージ、整体やカイロプラクティックでは効果を望めないものがあります。

 もし施術者に、診分ける力、あるいは「何かあやしいぞ?」と感じる力が無いのであれば、それは患者に触る以前の問題です。

じねん堂での改善方法

 じねん堂は、先に挙げた“推奨される治療法”における注射以外のすべての方法に精通しています。そして、董氏楊氏奇穴による鍼を主軸としつつ、五十肩・四十肩の病期に応じた施術を提供しています。

1.炎症期

 痛みを取り除くべく、鍼による施術を行います。文献的には注射が最も有効ですが、董氏楊氏奇穴も鎮痛を得意としているからです。
 「魔法みたいに効いた!」との評価をいただくのは、この段階の患者さんからのことが殆どです。
 董氏楊氏奇穴では鍼を遠隔部に刺し、患部(肩)を動かすことで施術効果を高めようとします。この病期に推奨される「副腎皮質ステロイド注射とエクササイズ」のような組み合わせ(鎮痛効果に優れた鍼と関節運動)が、実は古くから行われていたのです。

 とはいえ、痛い方の腕を反対の手で支えていないと痛くていられないほどであったり、ほんの少し動かしただけでも激痛が走ったりするようなら、病院の受診をお薦めします。もちろん、「病院へ行く前に鍼を試してみたい」ということでしたらどうぞお越しください。できる限りの施術をさせていただきます。

2.拘縮期

 鍼と機能訓練とを組み合わた施術を行います。鍼で痛みを抑え、筋肉の緊張をとりながら、関節の動く範囲を広くするような訓練を行います。
 鍼で痛みを抑えるとはいえ、固まってしまった位置より動かそうとすると痛みが出ます。痛みを庇う(かばう)動きが癖になっていることもあります。そこを少しずつ、癖を修正しながら動く範囲を広くしていくのです。
 週2回は施術したいところですが、「腕が挙がらないし痛いから何とかしてくれ!」と来院されるかたは多いものの、地味な訓練と劇的な改善の無さ、そして嵩んでくる施術費用によって、通院を負担に感じてしまう方も多い印象です。そもそも、この段階の症状が鍼で劇的に改善するという認識自体が誤りですので、もしそのような期待を抱かれているのであれば、鍼灸は選択せず、病院のでリハビリと自主トレとを根気よく続けることをお勧めします。

鍼をしながら肩の運動

 可動域が改善している(最初痛かった位置では痛まなくなっている)にもかかわらず、「変わらない。痛い!」と訴える方もいらっしゃいます。長く続く痛みに不快な思いをされていることは承知していますが、そこにフォーカスしすぎる“心の癖”は、回復を遅らせる要因になり得ます。これは、五十肩・四十肩に限らず、腰痛などにおいても慢性痛に陥りやすい・抜け出しにくい原因として注目されている事柄です。
 五十肩・四十肩を改善するなら、ここが辛抱のし時、物事の捉え方の見直し時であることを心に留め、通院していただきたく存じます。
 ただし、拘縮があまりに高度であると判断した場合は、病院での治療をお薦めしています。手に負えないものは手に負えないと速やかに判断することも改善の一助となるものであり、施術者の責務であると、じねん堂は考えています。

 肩関節の拘縮は、筋肉の間にある液体の入った袋(肩峰下滑液包)や関節を包む袋(関節包)が癒着することで起きます。この癒着は、軽度であれば手技療法や鍼でも改善可能と言われています。手技療法よりも鍼の方がより高度な癒着に有効と考えられていますが、それは、癒着部分に鍼を入れられた場合の話です。物理的に癒着へアプローチするわけです。現在、エコー透視下で鍼を行う手法が広がりつつあるものの、滑液包や関節包の部分への刺鍼技術は確立されていません(2018年現在)。比較的表層の、筋肉(筋膜・筋肉の間の脂肪組織)や腱の部分での癒着であれば、鍼が活躍すると思われますが、いずれにせよ、どの程度までの癒着であれば鍼が有効なのかもはっきりとは分かっていませんので、関節包でも筋・腱でも、癒着には病院で行っている注射で液体を注入する治療(パンピング療法、ハイドロリリース)を受けるのが安全で確実です。
 また、鍼をすることで肩関節周囲の血流が増加し、そのことが癒着の自然治癒を促すとの意見もありますが、こちらもはっきりとしたことは分かっていません。
 今のところ、鍼の役目は和痛と筋緊張の緩和、プラス可能であれば物理的な刺激による癒着の改善です。 

3.回復期

 痛みや筋緊張が残っていれば鍼をし、あとは積極的な運動療法を行います。じねん堂は鍼が得意ですが、運動指導も得意です。(パーソナルトレーニングじねん堂
 回復期の痛みにも鍼が奏効する印象です。とはいえ、この時期になってから初めて鍼灸に掛かろうと考える方は少数派かも知れません。拘縮期からステップアップして治療やエクササイズをされるかたが、じねん堂では一般的です。

じねん堂からのご案内

 ここまでは、五十肩・四十肩に関する情報と、五十肩・四十肩治療に対するじねん堂の方針とをお示ししてきました。簡単にまとめますと、じねん堂は​以下の特徴を持った鍼灸院であるといえます。

  1. 血流改善・鎮痛効果に優れた鍼による施術を行う
  2. 運動療法・機能訓練を適切に組み合わせる
  3. 病期に合わせた施術を行う
  4. 鍼の限界を弁えて治療にあたっている
  5. 五十肩・四十肩が完全に治癒するとは言い切れない疾患であると知っている

​ 鍼灸と機能訓練との組み合わせが五十肩・四十肩の改善に有効であることは事実であり、同時に、全てのかたが完全に治癒するとは言い切れないことも事実です。
 じねん堂は、五十肩・四十肩に「根本改善」などといった強い言葉は使いません。改善のために有効とされる鍼と運動療法・機能訓練とを高いレベルで提供するだけです。当たり前のことを当たり前に行っているだけ。しかし、この“当たり前”こそ、五十肩・四十肩の改善に必要なことであると考えています。お示ししたデータや施術事例、口コミでいただく評価が、その証左となりましょう。​

 五十肩・四十肩が疑われたら、ぜひ、じねん堂の施術をお試しください。

​ なお、三重県津市のじねん堂は、完全予約制で施術を行っています。初回は十分に状態を把握し、説明をし、同意を得てから治療に入りますので、60分程度のお時間をいただきます。ご予約は、電話かウェブにて承っています。

費用

会員施術料 4,950円
一般施術料 6,600円
初回料別途 2,200円

その他オプション・割引あり
初回60~90分程度
2回目以降45分程度

さらに詳しく

予約

059-256-5110
営業電話は固くお断りします

月~金 9時~21時
 土  9時~15時
日曜休業・祝祭日不定休

ウェブ予約
予約ページは新しいタブで開きます
免責事項にご同意のうえ、ご予約ください

免責事項

 鍼による施術は痛みや出血を伴う場合があります。また、以下のような場合、施術による変化が現れにくかったり、症状の“もどり”が早かったり、施術期間が⻑期に及んだり、施術することをお断りしたりすることがあります。鍼にはネガティブな側⾯があり、万能でもないことをご承知おきください。

構造上の問題による痛み
重篤な疾患による痛み
強⼒なあるいは多種の薬剤服⽤
⾼齢・衰弱による⽣理機能の低下
取り除けない物理的刺激要因
各種⼼理的要因

さらに詳しく

アクセス

〒514-1105 三重県津市久居北口町15-7
近鉄久居駅より徒歩15分/伊勢自動車道久居ICより車で5分
駐車スペース場常2台分あり
※看板がありませんのでご注意ください


【余談】五十肩・四十肩治療で後悔しないために

 五十肩・四十肩の治療院選びで後悔しないために注意したい事柄・キーワードを紹介します。どこの治療院にかかろうか思案中なら、参考になさってください。該当する治療院にすでにかかっているのなら、転院を視野に入れた方が良いかもしれません

1.どこに行っても取れない症状の根本改善

​ どこに行っても取れない症状の根本改善と聞くと、どんな難しい症状でも治してくれそうな頼もしい印象を受けます。痛みもすっかり取れて、可動域も全快するに違いない。きっと施術者にはその自信があるのでしょう。実績もあるのかもしれません。
 とはいえ、改善しない可能性を提示しないのであれば、極めて不誠実といえます。
 本当に五十肩・四十肩(肩関節周囲炎)なのか。そうでない可能性もあるのか。ウェブ上では提示されないことはあっても、実際に患者を前にしたらしっかりと説明しなければなりません。そのうえで、受療するかどうかは患者が判断するのです。

 ところで、“根本”とは何なのでしょう。まさか骨盤の歪みではないですよね?

2.プロスポーツ選手も使っている

​ ある機械や手法がプロスポーツ選手に対して使用されているからといって、あなたにも効果があるかどうかは分かりません。
 プロスポーツ選手が使っている事実と、機械や手法の優秀さは関係ないのです。
 プロスポーツ選手は、治療・施術の専門家ではないからです。チームのスポンサーが提供しているだけの機械かもしれません。たまたまチームのトレーナーが、その手法を使っているだけな可能性もあります。

 このような宣伝をする治療者は、なぜあなたの症状にその機械や手法が適しているのか、説明できるでしょうか。

​3.医師や同業者も推薦

​ 医師が当該施術所の加入するグループの顧問だったり、同業者のグループ内で褒め合っているだけだったりすることがあります。そういう宣伝手法を勧めるコンサルタントもいます。ツイッターなどのSNSでもかなりあからさまな褒め合いが見受けられます。
 患者として掛かった医師や看護師が推薦したにしても、“科”が違えば治療に詳しくはありません。整形外科医ですら、機能訓練や手技療法にあまり詳しくないことがあります。他の治療法でも改善した可能性は十分にあります。

どういった意味合いで“推薦”しているのか、注視する必要があるでしょう。

4.雑誌掲載多数・取材経験多数

 ゴッドハンド○○人とか、神の手を持つ治療院○○選とか。たしかに魅力的な見出しです。 

 しかし実際、大抵は記事風広告です。

​ ゴッドハンドの称号は今や、金で買えるものになっているのです。いくら日本が八百万の神の国とはいえ、さすがにこの “自称神” はどうかと思います。時代や国が違えば極刑です。
 ちなみに、2015年に広告代理店から提示された「すべての女性の好奇心に応えるウィークリーマガジン」への掲載料(定価)は、1/8枠 で25万円、1/4枠で50万円でした。初回割引で半額近くになるとのことでしたから、雑誌の影響力やホームページに掲載した時の見栄えを考えると、「それは載せたくもなるわなあ……」と感じました。じねん堂はもちろん、お断りしました。

5.整体院で“問診”

 医療系の国家資格(医師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師)の免許を持たない者が既往症を聞くなどの問診を行えば、医師法違反となります。
 鍼灸師で考えると、鍼をして良い病体なのか、あるいはどこに鍼をすべきなのかを判断するための問診が、許される範囲でしょう。カウンセリングという言葉で誤魔化している場合もありますのでご注意ください。

 原則として、鍼灸院・整骨院・整体院の前に、まずは整形外科を受診してください。

 たとえ整形外科を受診したことがあっても、痛み止めだけで変化が無かったり腕が上がりにくくなってきたした際に自己判断で通院をやめてしまっている場合は、療術施設に掛かる前に、再度、整形外科を受診してください。四十肩・五十肩は、多くの場合、整形外科での治療やリハビリで(時間がかかることはあっても)軽快していきます。
 鍼灸には鍼灸の良いところがありますが、病院の治療・リハビリを優先するのがじねん堂の方針です。整形外科を未受診の場合、また、鍼灸では改善が難しいと判断した場合、施術をお断りすることがあります。先述の“どのような働きかけをすれば良いか”には、整形外科でのリハビリも含まれています。

【参考】
福田宏明・三笠元彦・伊藤信之 (編) (1998). 肩診療ハンドブック, 医学書院.
日本理学療法士会 (2011). 理学療法診療ガイドライン
木村裕明・小林只・並木宏文(編) (2017). Fasciaリリースの基本と臨床, 医学書院.
最高裁判例 事件番号 昭和48(あ)85

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!