内膜症を治療するために必要なこととは何か。
それは、生理を止める(月経を抑制する)ことです。
もちろん、生理だけを止めるわけではありません。子宮内膜症では、本来あるべき場所でないところに飛んだ内膜がホルモンのサイクルによって増殖を繰り返して種々の症状を呈するわけですから、そのサイクルをコントロールすることが治療として必要で、その結果、生理が止まるのです。
ではどうやって生理を止めるかというと、閉経を除けばピル(低用量ピル:OC)を飲むか妊娠するかとなります。
出産回数が多ければ多いほど子宮内膜症の罹患率は低下する事が分かっています。逆に一回も出産せずに30歳・40歳となってくれば、子宮内膜症となる確率が極めて高くなるのは容易に想像できます。出産しないまま年齢を重ねることで子宮内膜症のリスクが高まり、子宮内膜症に罹患することで妊娠し難くなるのです。
不妊で悩むかたの中で子宮内膜症を持つ方の割合がどれほどか、正確な数字は分かりかねますが、不妊治療(不妊鍼灸)を行う上でも避けて通れない問題と言えます。
鍼灸で生理をピタリと止めることはできないですが、じねん堂では生理を止めるのとは別の働きかけによって、子宮内膜症の施術に臨んでいます。ツボを工夫したり、刺絡という手法を用いたり、刺激の量を調節して抑制的に働きかけたりです。いわゆる東洋医学的なアプローチです。
ところで、
ピルを止めなければ内膜症は治りません。
ピルは体を冷やします。
鍼灸で体を温めましょう。
などと言う鍼灸師を信じてはなりません。
ピルを服用しているときの基礎体温は、低温相(体温が低い時期)より少し高めの体温で一定になります。それはピルの成分である卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用によります。体温だけに目を向ければ、低温相が上がって高温相が下がるのですから、ピルは体を冷やすどころか「中庸に保つ」と言えなくもないです。※中庸とは、東洋医学において重視される過不足も偏りもない状態のことです。
ピルで体は冷えません。
批判のための東洋医学的屁理屈として中庸の概念を提示しましたが、実際の子宮内膜症の東洋医学的な解釈は、温める冷やすだけでなく、もっと多角的な要素から判断します。