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同じ不調を感じているのだとしても、今の自分と過去の自分とは違うのだと知れ!

 少し厳しいタイトルをつけてしまいましたが、今回は「施術者が患者から言われがちなこと」を叩き台に、不調を改善するために知っておいて損のない思考パターンを紹介したいと存じます。

 さて、鍼灸は多くの場合、身体に不調を感じた時の治療手段として第一選択となることはありません。
 とはいえ、過去に鍼灸を受けて良い経験をしたかたなら話は別です。第一選択となることもあり得ます。
 ここで注意したいのが、以前受けた鍼灸に対して過剰に良いイメージがついてしまっていること。
 このことが、患者自身へ悪影響を及ぼすこともあるのです。

 次に紹介する2つの台詞を聞いたら、私の頭の中では警戒警報が鳴り響きます。

1.前に鍼をしたら1回で治った

 それは何年前の話でしょう。

 その頃と体力は同じですか?
 気力は同じですか?
 食生活は同じですか?
 周囲の環境は同じですか?
 症状の強さは同じですか?
 症状の持続時間は同じですか?
 基礎疾患の有無は?
 原因と思える行動や出来事は全く同じですか?

 年齢と共に、自身の「治す力」は減退してきます。鍼灸などの働きかけに対する反応も鈍くなってきます。
 症状の強さや、発症から来院までの期間が全く同じだったとしても、“前の1回” が過去であればあるほど、以前と同じように1回では治らない可能性が高くなるでしょう。食生活や周囲の環境によっても、施術に対する反応は変わります。前回よりも症状が強かったり、多岐に亘っていたり、長い期間強い状態が続いていたりしたら、先ず1回では治りません。もちろん、逆のパターン(状態が悪いけれど1回で治る)もあり得ますが、それは少ない印象です。
 前任者が名手であったことは否定しませんが、後任も有効と思われる手段で施術を行っています。思い通りにはならないかもしれないことをお知りおきください。

2.鍼でないと治らない(○○という手法でないと治らない)

 本当にそうでしょうか。過去にたまたま鍼で楽になった経験があるだけかもしれません。

 治療の第一選択が鍼でしたか?
 鍼と同時に何か他の方法で治療していませんでしたか?
 直前まで他の方法で治療していませんでしたか?

 鍼で治った経験が、過去にたった1回だけというのなら、その認識は疑わしいというほかありません。
 鍼灸が第一選択でなかったのなら、幾種類かの治療手段を試すうちに自身の治す力が高まってきていて、たまたま鍼灸院での施術が最後の一押しとなった可能性があります。調子が良くなる直前に鍼をしたので、「鍼で治った!」と、勘違いをしたわけです。これを前後即因果の誤謬(ぜんごそくいんがのごびゅう)といいます

 前回不調を感じたとき、最初に鍼灸院に掛っていたら全く違う結果が出ていたでしょう。


 1回で治る、鍼なら治ると信じて治療を受けるのは前向きで良いことにも思えますが、「1回で治してもらえる」「鍼で治してもらえる」という考えだと、上手くいかなかったときに拗らせてしまう可能性があります。 「あそこの鍼が下手なんや!」と、施術者のせいにするならまだマシです。実際下手なのかもしれませんし、それなら他の鍼灸院を渡り歩いているうちに治っていくでしょう。
 最悪なのは、「鍼であかんかったんやから、もう一生治らへんのや。」と、悲嘆にくれてしまうパターンです。本当は治る(“治る”の解釈にもよりますが……)のに、自ら治りにくい心理状態を作り出してしまっているのです。非常に質が悪いパターンであると言えます。
 実際に私は、1回で症状を改善してしまったことも、1回では患者の期待通りの成果を上げられなかったこともあります。改善してしまったときは、「本当はそうではないのですよ。今回もたまたまかもしれないですよ。周りの環境やあなた自身の治癒力も関係しているのですよ」と、お話ししても聞く耳を持ってくださいますが、施術結果が期待通りに現れなかった場合はそうとはなりません。思い込み・信じ込みの強いかたを1度の施術で変化させられるほどの対話力はありませんから、施術中はもちろん、本当は何回か時間をかけてお話ししたいところですが、そもそも「鍼なら1回で治る」と強く信じてしまっているので、そうならなかったら最後、こちらが何を言っても言い訳としか受け取って下さらないわけです。
 60代、70代ともなってくると、ほんとうに、ご自身の考え方の癖を修正するのが難しくなってくるようです。極端な例だと、30年以上過去の経験をもとに「鍼なら1回で治せるから」と、施術を受けに来られた方もいらっしゃいました。

 しつこいようですが、その時と一緒なわけがないのです。

 施術者が最善を尽くすことは大前提ですが、過去に1回で治った時とはあらゆる状況が違っているのです。
拗らせないためにも、「1回で治る時は治る。治らない時はまあ、何回かで治るかも」と、考え方を少しだけ変えてみてください。

 それだけでもきっと、今より治りやすくなると思います。

「悲嘆にくれてしまったパターン」のかたが紹介で来られて、本人は非常に後ろ向きな気分でしたが粘り強く治療した結果、なんとか改善できた事例もありますから、すでに悲嘆にくれていらっしゃる方も鍼灸に再チャレンジしてみてください。それでうまくいくこともあります。一応、そういった事例もあると付記しておきます。

※「治る」という言葉の意味や使い方について、このエントリーでは敢えて定義していません。患者の口にした言葉をそのまま返す形で使っています。

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