動悸や緊張時に、してはいけない呼吸法・してほしい呼吸法

 自律神経症状に対する施術を行っていると、精神的に緊張しやすく動悸などでお困りの方から、「症状を和らげるために深呼吸をする」と、聞くことが度々あります。鍼が怖くてベッドに横になったとたん深呼吸が始まるという事例も何度か経験しています(これは施術者の責任かも知れません)。
 特に気になる症状が無いかたでも、緊張時に深呼吸をするのは一般的なのではないでしょうか。

 さて、あなたは深呼吸をする際、口をすぼめて「シュー!」っと、強く息を吐いてはいませんか?

 たしかに、息を吐くと心拍数は下がります。深呼吸で気持ちも落ち着くでしょう。強く長く吐く方が効果が高いように思えるかもしれません。その様に指導する施設もあるようです。
 しかし経験上、口をすぼめては息を吐かない事をお勧めします。

 なぜなら、余計な負荷がかかってしまうから。

 件の行為は、腹筋や肋骨の間の筋肉をトレーニングをしているようなものなのです。
 精神的に緊張しやすく、動悸などでお困りの方は大抵、普段から胸郭の動きが悪く、肩が上下するような呼吸の場合が多いです。つまり、普通に呼吸していても、頑張って呼吸しているような状態。ここに口をすぼめて息を吐くような方法を行うと、さらに胸郭を動かす筋肉を疲れさせてしまって、余計に症状が強くなってしまう可能性があります。あるいは我々が行う施術の治療の妨げになる可能性も。
 したがって、深呼吸をする際には「ほぉ~」と、抵抗の少ない口の形をおすすめしています。頑張って吐くのではなくて、自然に肺から空気が出ていくようにするのです。
 トレーニングはトレーニングとして、施術の段階が進み、胸郭周りの可動性が高まってから行えば良いです。

 ちなみに吸うときは、「はぁ~」と口を開け、遠くを見るように、そして胸を広げるように。下垂した腕の親指(手のひら)が外を向いていって、肩甲骨の下の方が寄るイメージで行います。多くの場合、こちらが何も言わずに息を吸ってもらうと、肩甲骨の上の方を寄せながら、肩のような姿勢で吸ってしまいがちです。ここも注意深くご案内している部分です。
 とはいえ、細かい部分は直接身体の動きを見て修正した方が良いですから、まずは吐き方。「シュー!」のかたは、口をすぼめずに「ほぉ~」と自然に息が出ていくように吐くことから始めてみてください。

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