不妊症は減っていく?

 療術業界では不妊省への施術に手を出す施設が雨後の筍のごとく増えてきているようです。
 しかし内情は百花繚乱とはとても言えず、玉石混交どころか、悪貨が良貨を駆逐しているような状態。良心的で勉強熱心なところはコツコツ堅実に、そうでもないところが一旗揚げようと大きな声を出して客寄せをしているといった具合に見えます。先般も「内容の通りに実行すれば妊娠率70%」などというとんでもないノウハウDVDがあっという間に売り切れていました。
 しかし実際、そんなものをかじった程度でどうこうなるような甘いものではありません。再現性のある施術法があったとしても、それを運用するためのバックボーン(婦人科、産科的な知識)が希薄では、結果的に妊娠に結びつかない患者を増やすだけになってしまいかねません。

 その様な業界へのボヤキは脇へ置いておくとしても、「現在の賑やかな状態が決して長くは続かないだろう」というのが今回のお話。

 さて、国勢調査を基にした人口推計を見ると、不妊治療のメイン世代である20代後半から40代前半当たりの人口が先細りなのは一目瞭然です。

 先細りということは、不妊治療が必要な世代の絶対数が確実に減少していくということ。

 さらに、高校1年生の保健体育の副読本に「不妊」についての記述が載ることが決まったそうです。高齢出産の場合に染色体異常の確率が上がるリスクなどが記載される方針とのこと。これから先、不妊の知識が浸透することによって早く子供をつくるようになり、不妊という状態が減っていくかもしれません。

 その様な状態になった将来、それでもまだ不妊治療が必要なカップルがいるとすれば、その原因は機能的なものではなくて器質的なものである可能性が高いでしょう。鍼灸や整体の出る幕ではないです。仮に機能的な問題で不妊に悩むカップルが存在したとしても、今よりはずっと少なくなるでしょう。

個人的にはそのような未来が訪れて欲しいと願っています。そして訪れた未来で、そのごく少数なカップルに頼られるような施術者になっていたいと思います。

【出典】
国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (http://www.ipss.go.jp/)

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