ドライアイも子供が試合の後に泣いてしまうのも、自律神経の仕業かも知れない

 2月も後半となり、花粉に反応して目がかゆいなどの声が増えてきました。春は花粉をはじめ黄砂やほこり影響で、痛みやかゆみなど眼に関するトラブルが多い時期です。東洋医学的には、春は「肝」の季節。そして「肝」の働きは眼や涙とも関係が深いとされています。

 今回は、涙と自律神経との関係について紐解いていきたいと思います。

涙と自律神経の関係

  一般的に交感神経と副交感神経は互いに拮抗した作用を示すとされていますが、こと涙腺に関しては、どちらも涙の分泌を促すという特徴があります。
 とはいえ、より重要なのは副交感神経の方。
 涙腺を担当する副交感神経は顔面神経から枝分かれしてきていて、顔面神経麻痺などでこの経路が障害されると涙の量が激減してしまうことからも、その重要性がうかがえます。一方、交感神経が涙の分泌にどういった役割を担っているかについては、よく分かっていないことも多いようです。

涙の種類

 涙には、分泌のされ方によって大きく3つの種類があります。

基礎分泌としての涙

 ひとつめは、ドライアイ等、目が乾かないように常に分泌されている涙
 我々の眼には潤いを保つため、常に涙が分泌されているのです。分泌を促すのは副交感神経の役割であり、これが阻害されると、いわゆるドライアイの状態に陥ります。上流の顔面神経が完全に断裂してしまっていたら鍼灸では手の施しようがないのですが、ストレス等で副交感神経の働きが阻害されている場合なら、鍼灸(経絡治療)やスーパーライザーによる星状神経節近傍照射の出番となります。

防御反射としての涙

 ふたつめは、角膜が刺激を受けることで反射的に分泌する涙
 玉ねぎを切っていたら目が染みて、涙を流した経験はありませんか。あるいは風に舞った砂埃が目に入ったときとか。これは、目が傷つくのを防ぐために我々の身体が備えている防御反応なのです。この反応にも副交感神経(と、三叉神経)が関与します。

情動性の涙

 みっつめは、我々人間に特有のものと言われている情動性の涙。感情に起因する涙です。
 嬉しくても、悲しくても、恐くても、あるいは懐かしい気持ちになっても、自分の出来事でも他人のでも、我々は涙します。ある報告によれば、映画やドラマを観て泣きだしそうになると心拍数が上昇し、感極まって実際に涙を流しはじめると、今度は逆に低下するのだそうです。これは、感情が高まって涙する際、交感神経と副交感神経とがスイッチされることを意味しています。
 私は以前空手をしていたのですが、少年部の試合を見にいったときに、ちいさな子供たちが勝っても負けても泣いていたのを思い出して妙に納得してしまいました。勝ってうれしい・負けて悔しいのほかに、緊張(交感神経優位)からの解放(副交感神経優位)も、涙の理由だったのでしょうね。

じねん堂で遭遇した涙に関わる症状

 先にも紹介したドライアイは、たびたび遭遇する症状です。自律神経症状をいくつか訴える中のひとつであることが常で、ご本人はドライアイ以外の症状を主訴として訴えられることが多い印象です。
 逆に涙が出すぎるといった方もいらっしゃいます。脳梗塞後遺症の片麻痺で、麻痺側から涙がこぼれて不快だという症状を寛解させることは出来ませんでした。一方、病院で「高齢だから仕方ない」と言われたという涙目の症状は、緩和することができました。若年者で涙が出すぎる症状を訴える例の経験はまだありません。
 若年者だと、感情の起伏が激しくてポロポロ泣いてしまう事例が、記憶に残っています。鍼灸(経絡治療)とスーパーライザーを用いて施術を続けるうちに、徐々に落ち着いていきました。


 いかがだったでしょうか。涙について、自律神経の働きを絡めて紹介いたしました。
 鍼灸の適応なものも幾つかありますので、気になる症状がありましたらご相談ください。

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