「突発性難聴」は鍼灸の効果が期待できる疾患のひとつです!– 津市で突発性難聴の鍼灸治療といえばじねん堂 –

突発性難聴改善の鍵はスピードと循環改善

 突発性難聴は鍼灸の効果が期待できる疾患のひとつです。
 鍼灸が突発性難聴の原因と考えられている循環障害の改善を得意とし、自律神経系、免疫系への影響も期待できるからです。実際施術を行っていて、聴力低下といくつかある随伴症状のうち1つ以上が軽減あるいは消失することを経験してきました。
 特に発症から治療開始までの期間が短いほど、改善方向に進みやすい傾向にあります。
ちろん、早期に治療を開始しなければ絶対に改善しないかといえば、そうとも言い切れません。少数ではありますが、発症から数ヶ月経過していても改善にむかったり、施術開始から数ヶ月間にわたって改善が続く事例の報告もあります。いわゆる症状固定に至る期間には一般的に認識されているよりも広い幅で個人差があるのかもしれません。ですから、限度はありますが、発症からある程度時間が経過していたとしても施術を受けてみる価値はあると考えられます。
 一方で、早期に治療を開始したのに改善しない事例があるのも事実です。突発性難聴は明確な原因が不明であるため、個々人の症状がどの程度改善するかも、施術をしてみなければ分からないという側面を持ちます。

 とはいえ、じねん堂の施術はデータを基に改善率が高いと思われる手法を厳選して採用し、変化が無いのに漫然と施術を継続することもありません。不安は強いかと存じますが、鍼灸を選択肢に入れていただければと思います。

施術例

 じねん堂における突発性難聴への施術例を紹介します。様々な状態の4例をピックアップしました。じねん堂で施術を受けてすべての方が、完全に聴力を取り戻すわけではありません。したがって、良好に経過した例とそうでなかった例とが含まれています。なお、4例中3例は、androidのアプリ「聴力検査」を用いて初療時と施術終了時の聴力を測定しています。

良好な経過を示した1例

 30代、女性。
 昼食後に食器を洗っていたら、左耳に詰まった感じがしてきた。以前に耳鳴りの前兆現象として耳の詰まった感じを経験していたが、その時は無治療で治まったので今回も放置した。翌朝、起床したら右耳が聞こえにくくなっていた。耳鳴りもあった。翌日、耳鼻科を受診し、突発性難聴との診断を受けた。ステロイドを処方され服用している。
 発症から9日後にじねん堂へ来院。

施術内容・経過】
 手足のツボや肩・背中の凝りに鍼をし、首や耳周囲のポイントにはスーパーライザーを照射。
 1回目の施術直後は変化を感じなかったが、帰宅したら耳鳴りが半分程度になっていた。
 5日に1回の頻度で施術を行い、1クール(5回)終了後も改善傾向が続いていたので、頻度を保ったまま10回の施術を行った。
 患者本人の自覚として、十分回復したとのことで施術終了となった。

良好な経過を示した事例のオージオグラム

施術者コメント
発症から9日後と、早い時期での施術開始となった事例。頻度を保ったまま10回の施術を重ねることができたことも、回復を助ける要因となったのではないかと考えています。

長期間の施術を行った1例

 40代、女性。
 朝起きると右耳が全く聞こえなくなっていた。その日のうちに耳鼻科を受診し、突発性難聴の診断を受け、ステロイドとビタミン剤を処方された。
 翌日、高架下にいるような「ゴーッ」という耳鳴りと、強いめまいを自覚した。
 2週間の治療によって少し聞こえが良くなった気がしたが、病院では、検査結果を見て、「最初と変わっていない」と言われた。
 インターネットでいろいろ調べ、星状神経節ブロックが効くらしいと知ったが、喉に注射をするのが怖くて迷っているうちに時間が経ってしまった。スーパーライザーによる星状神経節近傍照射なら痛くないようなので、施術を受けられる施設を探していたらじねん堂を見つけたとのこと。
 来院時は発症から20日が経過していた。
 耳鳴りは「キーン」という高い音に変わっている。耳の中に常に何かが入っているような違和感がある。

施術内容・経過】
 手足のツボに鍼をし、首や耳周囲のポイントにはスーパーライザーを照射。頚肩部の筋緊張が極めて高かったので、それを緩めることを目的に遠隔部のツボと局所への刺激を行った。
 週2回の頻度で1クール(5回)終了後の聴力測定では、2000Hzのみが80dB(治療前は測定限界以下)に改善したものの、他の周波数に変化が無く、耳鳴り・異物感も変わらなかった。2000Hzに関しても誤差程度の変化ではあるので施術の終了も検討されたが、「耳以外の身体全体は調子が良い。肩こりはかなりマシ」とのことで、頻度を保ったまま施術を継続した。
 8回目の施術後、耳鳴りが減弱し、電話の声も若干聞き取れるようになってきたとのこと。
 3クール目からは仕事の都合で週に1回、4クール目は1ないし2週間に1回の来院となった。
 20・21回目の施術以降は、「ある程度聞こえるようになってきたけど、そこから進まない」状態となり、測定上も変化が見られなくなったため、症状固定とみて終了した。

長期間の施術を行った事例のオージオグラム

施術者コメント
部分的ではありますが、発症から5か月近く(鍼灸の施術期間はおよそ4か月)にわたって緩やかな回復傾向が続き、高度難聴が軽度~中等度にまで回復した事例です。
1クール終了時点ではオージオグラム上ではわずかな変化しか見られず、患者の体感も無かったことを考えると、1クールの施術回数が5回という設定では少なすぎるパターンもあるのかもしれません。

改善がみられなかった1例

 40代、男性。
 仕事中右耳が突然聞こえにくくなったと感じたが、放置。翌日めまい・耳鳴り・嘔吐にて耳鼻科を受診し、突発性難聴の診断を受けた。服薬しつつ3回通院したが聴力に変化は無い。めまいは無くなった。
 発症から11日目にじねん堂へ来院。ザーっという耳鳴り。高い音が響く。
 聞こえ辛さや耳鳴りに大きな苦痛を感じ、不安感が大きい。鍼に対しても、痛みや感染の危険性などへの恐怖感を抱いている。

施術内容・経過】
 手足のツボや肩・背中の凝りに鍼をし、首や耳周囲のポイントにはスーパーライザーを照射。
 5日に1回の頻度で1クール(5回)施術したが、聞こえ、耳鳴り共に全く変わらず。
 効果なしとみて終了。

改善が見られなかった事例のオージオグラム

施術者コメント
発症から2週間以内と、早い時期での施術開始ではあったものの、改善がみられなかった事例。
藁をもすがる心持ちで鍼灸に頼って頂いたことと思いますが、力及ばずとなってしまいました。患者の鍼灸に対する恐怖感を、施術者が払拭できなかったことも、施術効果に少なからず影響を与えたと思われます。

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突発性難聴とは

 突発性難聴とは、突然に発症する高度の感音性難聴のうち原因不明のものをいいます。厚生労働省による2012 年の調査では、年間の発症者数が人口10万人当たり60.9人と推定されている突発性難聴。津市の人口が約28万人ですから、津市では毎年170人のかたが突発性難聴を発症している計算になります。170人と聞くと少ないと感じるかもしれませんが、津市にある大抵の中学校において1学年分に相当する人数です。
 また、突発性難聴には聴力低下以外の症状もつきものです。 80~90%が耳鳴りを自覚するほか、めまい(回転性および動揺性)、閉塞感(耳の詰まった感じ)、補充現象(子供の泣き声、金属音、テレビの音、車の走る音が響いて聞こえる)、自声強調(自分の声が耳に響いたり変に聞こえたりする )など、日常生活を送る上で大きな苦痛を強いられることも少なくありません。

突発性難聴の原因

 突発性難聴は診断基準に“原因不明”の文言がある通り、明確にひとつの発症原因といえるものは分かっていません。突発性難聴の原因としては、循環障害ウイルス感染ストレス応答などが挙げらていれます。突発性難聴と呼ばれる状態に至る原因が複数ある(複数の型の難聴をまとめて突発性難聴と呼んでいる)のかもしれません。

循環障害説

 内耳を栄養する動脈が何らかの理由で詰まったり、一時的な痙攣をおこしたり、あるいは出血したりすることによって突発性難聴が起こると考えられています。循環障害は突発性難聴の特徴である「突然の発症」を説明することができ、突発性難聴患者に高血圧や糖尿病の有症率が高いことや、血管拡張剤が突発性難聴の改善に有効という報告からも、有力な説の一つとなっています。

耳の解剖図

ウィルス感染説

 多くの場合、突発性難聴は1回限りの発症であり、再発は稀です。このことがウィルス感染による免疫獲得(終生免疫)を示唆しており、突発性難聴の発症前に感冒症状を訴える症例も多いことから、ウィルス感染説が有力視されています。突発性難聴の原因となるウィルスは特定されていません。

ムンプス難聴
ムンプス難聴は、おたふく風邪(ムンプス)の合併症のひとつで、ウイルスの内耳感染によって生じる難治性の高度難聴です。ムンプス患者200人から400人に1人の割合で発症し、年間で推定650人くらいが罹患すると言われています。ムンプス難聴は突発性難聴とは異なる病気ですが、突発性難聴にはムンプスの不顕性感染(おたふく風邪で症状の出ないもの)が含まれているとの報告があり、難治性の突発性難聴との関連性が疑われています。

ストレス応答説

 私たちの身体は環境から常に何らかの刺激(ストレス)を受けています。ストレスには機械的な外力のほかに化学物質への暴露やウィルス等の感染、そして精神的なストレスがあります。私たちの身体はこれらの刺激に対して適応し、健康な状態を保とうとしています。これをストレス応答といいます。そして、許容範囲を超える刺激(ストレス)は、疾病状態を引き起こします。
 ストレス応答には全身性のものと局所性のものとがあり、突発性難聴には全身性のストレス応答が関わっていると考えられています。全身性応答では、主に視床下部・下垂体・副腎などによる内分泌系と、自律神経系及び免疫系の反応が起こります。
 突発性難聴の場合、許容範囲を超える刺激(ストレス)への応答が聴こえに関係する器官であるコルチ器に損傷を生じさせ、聴力低下を引き起こします。刺激が大きければ、損傷も大きく不可逆な(元に戻らない)難聴となり、刺激が小さければ損傷も小さく、回復の可能性がある難聴になると考えられています。

コルチ器
コルチ器は、内耳の蝸牛管の中にある螺旋状をした器官で、音を電気信号に変換する役割を担っています。蝸牛には、中耳の耳小骨から音の振動が伝わってきます。蝸牛の中はリンパ液で満たされていて、リンパ液を伝わってきた音の振動をコルチ器にある有毛細胞が感知し、聴細胞を興奮させて電気信号として脳に伝えます。

首の筋肉(胸鎖乳突筋など)のコリや骨盤のゆがみが突発性難聴の原因であるという科学的(医学的)な根拠はありません。じねん堂でも頚肩部への施術を行いますが、原因へのアプローチではない理由からです。

突発性難聴の治療

 難病情報センター「難治性聴覚障害に関する調査研究班」の報告によれば、病院における治療は通常、血管拡張薬・代謝改善薬・ビタミン製剤・副腎皮質ステロイドが使用され(内服、全身投与、鼓室内投与)、高気圧酸素療法・星状神経節ブロックも施行されているものの、確立された治療法は存在しないというのが現状のようです。

突発性難聴の予後(病状の医学的な見通し)

 予後についてですが、全体の30~65%は自然回復の可能性があります。しかしそれは発症後2週間以内に起こると考えられていて、2~3か月以上経過して残存する聴力障碍については自然回復を期待できないと考えられています。治療の結果治癒に至るのは3分の1程度とも言われ、西洋医学的にも難しい疾患であることが分かります。

 

 

 

 

 

じねん堂の施術

ここからは、じねん堂の突発性難聴に対する施術についてお示しします。

じねん堂の突発性難聴施術を選んでほしい4つの理由

1.データに裏付けられた根拠ある手法を採用しているから

 現在じねん堂で行っている突発性難聴への施術方法は、ある鍼灸院が様々な科学的根拠を基に、自院の治験とデータ集積に基づいて構築した手法が基になっています。良い結果ばかりを集めて有効性を喧伝するのではなく、施術の結果を客観的に評価し、有効性が検証された手法です。施術の根拠がしっかりしている現代的な鍼灸と言い換えることができます。
 じねん堂の施術者は2016年、この根拠ある手法の考案者から直接、施術理論や鍼を刺し入れる場所・深さ・方向などの手ほどきを受け、同等の施術結果を得ることが可能となりました。そこからさらに症例を重ね、施術成績を少しでも向上させられるように他の研究論文や東洋医学の古典を取り入れながら発展させたものを現在提供しています。

2.比類ない東洋医学の手法を採用しているから

 じねん堂では東洋医学的な鍼灸の手法として、鍼灸の原典である黄帝内経(紀元前475~221年成立)に近い手法を採用しています。
 それが、董氏楊氏奇穴です。
 董氏楊氏奇穴は、​董景晶(1975没)によって世に公開(73名の弟子に伝授)されるまで漢の時代から長きに亘って董家に伝わる一子相伝の奥義だった董氏奇穴を、弟子のひとりである楊維傑が中心となって体系付けされたものです。
 董氏楊氏奇穴の特徴として第一にあげられるのは、患部に鍼を刺入しない遠隔治療である点です。身体を巡る “気” の経路である経絡同士の関係や、740余の独自のツボ(奇穴)を利用して患部から離れたポイントを刺激することで、種々の生理反応を引き出します。また、症状によっては刺血・刺絡といって、皮膚に微小な傷をつけて血(けつ)の滞りを除去する手法も用います。
 鍼によって引き起こされる生理反応は「血流増加・鎮痛・抗炎症・神経系の調整」であると考えられています。これらは董氏楊氏奇穴に独自の反応ではなく、鍼灸全般にも見られるものですが、遠隔治療であることや反応の発現が速く力強いことは董氏楊氏奇穴の特徴であり、手法の成り立ちの面からも、董氏楊氏奇穴が他に類を見ない手法であると言えます。
 突発性難聴に対する施術の場合、董氏楊氏奇穴にある難聴やめまいのツボの組み合わせの中から、先述の “現代的な鍼灸” に使用しているツボと共通した部分のあるものを選択しています。客観的評価による科学的な根拠(現代的な鍼灸)と膨大な経験の積み重ねという根拠(董氏楊氏奇穴)との共通部分を重ねて鍼の影響力を強くする意図があります。

3.鍼灸の効果を補完・増強する技術を導入しているから

 鍼灸に期待できる効果には、自律神経機能の調整と、遠隔部・局所の血流改善が挙げられます。手足の経穴(ツボ)に鍼をすることで自律神経の反射を起こして内耳周辺の血流を促したりするのが遠隔部への作用。鍼を刺し入れたその場所の血流を促すのが局所への作用です。
 ところが残念なことに、こと難聴に関して鍼は、局所への効果を十分発揮できません。頭蓋骨や鼓膜などが邪魔になったり内耳周辺が非常にデリケートな構造であったりするため、内耳に鍼を刺すことができないからです。このような場合、標的部位まで刺激が届く方法で鍼灸の効果を補完することとなります。
 鍼灸だけでは難しい局所へのアプローチを補完するのが、直線偏光近赤外線治療機器(スーパーライザー)です。 スーパーライザー治療は照射部局所の血流改善はもちろん、首の部分にある神経の塊(星状神経節)に照射することで、自律神経機能の改善や脳血流の改善にも役立つことが知られています。

スーパーライザーによる傍星状神経節近赤外線照射

 突発性難聴の施術に欠かすことのできないこの物理療法機器を、じねん堂は三重県の鍼灸院として初めて導入しました。※スーパーライザーPX 2015年 東京医研調べ   

4.施術効果の判定が明確だから

 じねん堂の突発性難聴に対する施術は、週1回以上の頻度で5回を1クールとしています。 1クール終了毎に聴力を測定し、改善傾向にあれば症状が固定するまで治療を続けることになります。
 聴力に大きな変化が無くとも、耳鳴りなどの随伴症状に変化がみられる場合は10回まで経過を観察します。その後の対応は聴力の場合と同様です。
 なお、測定には簡易的にAndroidのアプリ「聴力検査」を使用しています。あくまで参考値ではありますが、聴力の変化を知る助けにはなると思われます。 正確さを求められるのであれば、耳鼻科での聴力検査をおすすめします。   

じねん堂は、現代的な鍼灸や古典的な鍼灸と物理療法とを組み合わせ、施術期間や評価も含め、データに基づいた根拠ある施術を提供しています。

突発性難聴に対する施術、3つの目標

突発性難聴に対する施術の目標は、もちろん聴力の回復に他ならないのですが、ここでは鍼等の刺激によってどのような反応を身体に起こさせようとしているのかについて述べたいと思います。

1.内耳の循環改善

第一の目標であり、鍼の最も得意とすることです。手足、首、耳周囲のポイントに、鍼とスーパーライザーを用いてアプローチします。循環障害による可逆的な変化であれば、改善が期待できると思われます。免疫に関係する細胞は血液やリンパ液の中に存在しますので、循環を促すことでプラスに作用する可能性があります。
聴力はもちろんのこと、耳鳴りやめまい症状の軽減にも寄与すると考えられます。

2.自律神経の調整

 自律神経は血流に関わっています。副交感神経が優位になることで血管が拡張し、血液循環が促されます。しかしそれだけではありません。鍼灸とスーパーライザーの刺激によって副交感神経の働きを促すことで、種々のストレスによって不具合を生じた自律神経の働きを調整できる可能性があります。施術によって心身のリラックスがもたらされると考えればわかりやすいかと存じます。

3.筋緊張の緩和

突発性難聴に罹患したかたは、頚肩部の筋緊張が高い傾向にあります。ストレスフルな環境にあったためにそうなったのか、突発性難聴のストレスによってそうなったのかは分かりかねますが、頚肩部の筋肉を緩めることで循環を促し、心身のリラックスを図ります

内耳の循環改善を第一の目標とし、自律神経の調整や筋緊張の緩和も並行して実施します。

鍼灸の限界

鍼灸は、どのような疾患でもたちどころに治癒してしまうような魔法ではありません。鍼の刺激によって⼈体の⽣理反応を引き出すという特性上、⼈体の基本構造や⽣理的原則を超越することは不可能です。また、生理反応を阻害する要因に対しても無力な面があります。突発性難聴への施術の場合、鍼灸の限界がどこにあるのかをお示しすると共に、じねん堂の考える鍼灸の役割についてご案内します。

不可逆の変化

 突発性難聴の原因が循環障害であれウィルス感染であれストレス応答であれ、内耳に起こった器質的・不可逆的な変化を鍼の施術で元に戻すことはできません。例えば聴こえに関する神経細胞が死んでしまっていたら、たとえ鍼をしても、それが生き返ったり新しいものに作り替えられたりすることは無いのです。

副作用

 鍼灸にかぎらず、すべての施術には副作用(有害事象)が起こり得ます。一般的なものでは、鍼を刺した部位や全身の倦怠感ですが、突発性難聴の施術の場合、一時的な「サー」という耳鳴りの発生あるいは増悪が考えられます。一説には、促された血流の音を拾っていると言われていますが、はっきりした事は分かっていません。あくまで一時的なものとはいえ、負担に感じる症状です。この現象が起こるか起こらないかは、施術をしてみないと分かりません。

メンタル要因

 突発性難聴は周辺症状も含め、非常に精神的な負担の大きいものです。その負担のせいで、あるいはもともとの神経質な性質も手伝って、聴こえに関する症状に対して過敏になってしまう場合があります。さらに、鍼に対する恐怖感や猜疑心が加わると、改善に対する大きな妨げになり得ます。先述の一時的な耳鳴りの増悪を実際以上に大きくとらえてしまったり、一時的な増悪は治まったはずなのに、必要以上に耳鳴りにフォーカスしてしまって「鍼をしたから耳鳴りが大きくなった」と、捉えてしまったりします。また、鍼に対する恐怖感や猜疑心が強いと交感神経が興奮してしまいます。血管を拡張したりリラックスしたりのためには副交感神経が優位になる必要があるのに、逆の反応を呈してしまうのです。これでは十分な効果を得ることができません。
 施術者はメンタル要因を少しでも減らせるように言葉を尽くします。とはいえ結局納得できるかどうかは受療者次第なのです。極端に不安の強い方の場合、施術を見合わせることもあります。

 

鍼灸の役割

 すでにご承知のとおり、病院の治療を数か月続けても全く改善の見られなかった突発性難聴が、鍼灸でみるみるうちに回復していく可能性は、限りなくゼロに近いです。突き放すような表現で心苦しいのですが、事実です。
 一方、病院の治療への反応が鈍い突発性難聴に鍼灸の施術を追加することで、回復の助けになった可能性を示唆する事例は度々経験します。もちろん、施術開始が速ければ早いほど改善しやすい傾向にあります。
 鍼灸にできるのは、回復の期待できる(器質的変化の無い)早期の施術、そして病院の治療の補助的な役割であると言えます。
 また突発性難聴は、病院の積極的な治療が終了した後もじわじわと回復していくことがあります。本当に聴力が回復することもあれば、聴力は変わらないけれども耳鳴りなどの周辺症状に慣れることで相対的に日常生活を送りやすくなっていることもあるでしょう。回復速度が鈍くなっている時期のケアとしても、循環や自律神経の調整の面で、鍼灸にお手伝いできることがあるとじねん堂は考えています。

さいごに

 発症機序が解明されている病気、物理的に何かを取り除けば治癒する症状、そして外傷に対する効果なら、西洋医学に勝るものはありません。現在の状態や治療後の状態を客観的に知るにも、西洋医学的な検査が欠かせません。
 しかし心身の不調の中には、原因の良く分からないものも依然として多いのです。一生のうちに国民の80%が自覚するといわれるほど一般的な病気である腰痛ですら、その85%が原因不明とされています。(Richard A. Deyo, James N. Weinstein.Low back pain. New England journal of medicine 2001;344:363–370 )
 突発性難聴も、原因の良く分かっていない疾患のひとつであり、西洋医学的なアプローチは発展段階であるといえます。
 そのようななか、精神的なストレスを軽減したり自律神経機能を高めたり、局所の血流を改善したりすることが有効であると分かってきました。これらは鍼灸が得意とする分野です。じねん堂では、物理療法・現代医学的な鍼灸・東洋医学的な鍼灸がそれぞれを補完しあい、統計学的にも有効性の示されている手法を取り入れて、この分野における鍼灸の効果をより高めようと日々研鑽しています。

 じねん堂は、「今すぐ!」とか、「今なら間に合う!」など、不安を煽って宣伝することを好としません。自律神経症状も、不妊も、鍼灸の施術を受けるかどうかはじっくり検討していただけば良いと考えています。
 しかし、突発性難聴だけは違います。一日も早く、一刻も早く。治療を受けていただきたいのです。改善の可能性を少しでも高くするために。

 鍼灸の受療を検討中でしたら、迅速な決断を希望いたします。


基本施術料会員:4,950円
一般:6,600円
初回料2,200円
特殊鍼法
【刺血・刺絡】
 東洋医学の理論に基づき、生命の根源である「気」と「血」を動かすために特殊な鍼を用いて皮膚を切ります。少量の出血を伴います。
 外科手術等の医行為を混同される方もいらっしゃいますが、法的にも認められた鍼の手法のひとつです。 
1回/1,100円
スーパーライザー
 直線偏光近赤外線治療器であるスーパーライザーは、一般的な遠赤外線治療器よりも深部にアプローチできます。突発性難聴に対しての場合、自律神経機能の改善を目的として頚部の星状神経節近傍に照射するほか、内耳の血流改善や頚部の筋肉筋緊張の緩和を目的として、耳周囲に照射します。
1回/550円
詳細は費用のページをご高覧下さい。

予約

059-256-5110
営業電話は固くお断りします

月~金 9時~21時
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免責事項

 鍼による施術は痛みや出血を伴う場合があります。また、以下のような場合、施術による変化が現れにくかったり、症状の“もどり”が早かったり、施術期間が⻑期に及んだり、施術することをお断りしたりすることがあります。鍼にはネガティブな側⾯があり、万能でもないことをご承知おきください。

構造上の問題による痛み
重篤な疾患による痛み
強⼒なあるいは多種の薬剤服⽤
⾼齢・衰弱による⽣理機能の低下
取り除けない物理的刺激要因
各種⼼理的要因

さらに詳しく

アクセス

〒514-1105 三重県津市久居北口町15-7
近鉄久居駅より徒歩15分/伊勢自動車道久居ICより車で5分
駐車スペース場常2台分あり
※看板がありませんのでご注意ください

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