筋トレやフィットネス目的でプロテインサプリメントを取り入れたいけれど、IBS(過敏性腸症候群)があると、「飲んだあとにお腹が張る」「ゴロゴロする」「便通が乱れる」といったことが起こりかねない。どの製品を選べばよいか、そもそも摂って良いのか。
そう迷う方は少なくありません。実際じねん堂でも、「プロテインサプリメントを摂って良いのか」「摂るならどれが良いのか」といった質問を受けることがあります。
ここで大切なのは、「プロテイン」で一括りにしないことです。
なぜなら、プロテインサプリメントは製品ごとに成分の差が大きく、そこに含まれる糖質や添加成分がIBSの症状に関わる可能性があるあるからです。
IBSの食事療法では「低FODMAP食」がもっとも根拠のある方法の一つとされています。プロテイン選びにおいてもこの考え方は参考にできますし、もちろんこの記事もそれを参考にして作成しています。
今回は、IBSの方がプロテインを選ぶときに気を付けたいことと、比較的選びやすい商品候補を紹介します。
注目すべきは、「種類」より「原材料」
通常、プロテインサプリメントを選ぶときには、「ホエイか、ソイか」「動物性か、植物性か」といった、プロテインの種類に目が向きやすいと思います。もちろんそこも大事ですが、IBSの方では、原材料として何が入っているかが見るべき点となります。
Monash大学(オーストラリア・メルボルンの大学。低FODMAP食を開発した研究チームで知られます)は、プロテインパウダーのFODMAP含有量は製品ごとに異なり、一律には判断できないとしています。たとえば、ホエイでもコンセントレート(WPC)とアイソレート(WPI)では、乳糖などの炭水化物量が違いますし、植物性では精製の程度によってオリゴ糖が残りうること、さらに“prebiotic”と書かれた製品は注意して見るべきことが示されています。また、同一商品でも「複数の味の選択肢」があるものでは、「プレーン」以外のものには(時にはプレーンでさえ)、甘味料や香料が多く入っていることもあります。
原材料表示では、どこを見ればよいか
IBSの方がプロテインを選ぶときは、パッケージ正面の「高タンパク」「溶けやすい」「おいしい」「腸活」といった言葉より、裏面の原材料表示を見るのが良いでしょう。
先ず避けたいのは、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)、ソルビトール・マンニトール・キシリトールなどのポリオール、イヌリン、チコリ根(代替コーヒーの原料で、イヌリンを多く含む)、フラクトオリゴ糖、プレバイオティクス配合、そして甘味料や香料が多いフレーバー製品です。Monash大学も、プロテインパウダーではこうした成分を個別に見ていく必要があると説明しています。
また、原材料が多すぎる製品も、IBSでは慎重に捉えるのが吉です。植物性プロテインの中には、豆類や穀類をいくつも組み合わせたうえに、さらにプロバイオティクス、消化酵素、プレバイオティクスまで加えたものがあります。そうした製品は魅力的に見える一方で、いざ飲んでお腹の調子を崩したときに、原材料の何が自分に合わなかったのかが分かりくいです。
反対に、最初の購入候補にしやすいのは、プレーン、ノンフレーバー、単純な原材料、アイソレート、単一原料に近いものです。
つまりIBSの方にとっては、人気だったり健康効果を謳ったりした商品よりも、余計なものが少ない商品を選ぶほうが得策なのです。
◆ 単一原料でも注意が必要なパターン
ピー(えんどう)プロテインは、単一原料であっても勧めにくい面があります。Monash大学の報告によれば、市販の “100% pea protein” 製品でブランド間のFODMAP含有量に大きなばらつきがあったとのこと。購入候補からは外すのが無難です。
ホエイを選ぶなら、まずはアイソレート
筋トレ用のプロテインとしてまず考えやすいのは、ホエイプロテインアイソレート(WPI)です。理由は、ホエイが特別IBS向きだからではなく、ホエイの中では乳糖などの炭水化物を減らしやすいからです。Monash大学も、WPIはWPCより炭水化物、とくに乳糖が少ないと説明しています。
国内で比較的見つけやすい候補としては、バルクスポーツ アイソプロ ナチュラル があります。商品ページでは、WPI使用のノンフレーバータイプで、原材料は 分離ホエイたんぱく(乳成分を含む)/乳化剤(大豆由来) とされています。甘味料や香料を含まないため、IBSの方でも比較的試しやすいホエイプロテインの一つです。
iHerb等で海外サプリを探すなら、NOW Foods Sports Whey Protein Isolate Unflavored も候補になります。無香料で、余計な風味づけが少ない製品です。
逆に、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)や、フレーバーの強い商品、マスゲイナー(いわゆる増量用プロテイン)のように糖質や添加成分が多い製品は、IBSの方では避けるのが無難かと思われます。
乳製品が気になるなら、卵白プロテイン
「乳糖がどうも合わない気がする」「乳製品由来そのものが気になる」という方では、卵白プロテインが候補になります。
卵白プロテインの利点は、乳糖や大豆由来オリゴ糖を含まないところです。IBSに特化した大規模試験があるわけではありませんが、原材料を単純化しやすいという点で、購入候補に挙げやすいと思います。例を挙げるなら、NICHIGA 卵白プロテインです。Amazonの商品情報では、原材料は卵白粉末(ドイツ製造)とされ、非常にシンプルです。
エッグプロテインはなかなか筋トレ用の定番として名前の挙がるものではないですが、今回は「飲んだあとに余計な(お腹の)反応が出にくいか」を重視していますので、十分に選択肢となり得ます。
ホエイでお腹が動きやすい(ゴロゴロしがちな)方が、次に試す候補としても良いと思います。
植物性なら、ソイ(大豆)はアイソレートを優先
ソイプロテインは、どうしても「大豆の製品」として一括りにされがちです。しかし、IBSの観点からすると、大豆そのものとsoy protein isolateは別物です。
Monash大学は、全粒の大豆から作る豆乳ではGOS(ガラクトオリゴ糖:FODMAPの“O”に分類される発酵性の糖質)が残りやすい一方で、soy protein 由来の製品ではGOSを残しにくく、低FODMAPになりやすいと説明しています。つまり、「ソイはお腹に悪そう」とまとめるより、どんな形のソイかを見る方が大切なのです。
そのようななか、候補として挙げやすいのは、NOW Foods Sports Soy Protein Isolate Pure Unflavored です。商品ページでは、無香料で、1食あたり20gのタンパク質を含む植物性プロテインとして案内されています。
大切なのは、ソイでも “soy protein isolate”“pure”“unflavored” に近いものを選ぶことです。そこが曖昧な製品より、ずっと選びやすくなります。
ソイプロテインは、男性から「女性ホルモン様作用が気になる」という理由で避けられることがあります。ただ、この点については、2021年の拡張メタ解析で、大豆たんぱくやイソフラボンの摂取が、男性の総テストステロン、遊離テストステロン、女性ホルモンの一種であるエストラジオールなどに有意な影響を与えなかったと報告されています。過度に警戒して、候補から機械的に外す必要はないかなと思います。
発芽玄米プロテインはどうか
日本人としては、「発芽玄米プロテイン」という言葉に魅力を感じずにはいられないのではないでしょうか。実際、NOW Foods Sports Sprouted Brown Rice Protein Powder Unflavored は、無香料で、食物アレルギーや特定原料に配慮した製品として案内されています。
こうした点は、IBSの方にとってプラスに考えやすいところです。
ただ、(しつこいようですが)大切なのは「発芽玄米」という名称そのものではなく、余計な甘味料やプレバイオティクスが入っていないか、原材料が単純かという点です。ヘルシーな印象だけで選ぶのではなく、ラベルを見て判断したいところです。例えば、同じくオーガニックや植物性を謳う製品でも、IBSでは慎重になるべきものがあります。Garden of Life の RAW Organic Protein Unflavored は、「発芽玄米プロテイン」で検索すると上位に表示される人気の高い製品ですが、販売サイト(iHerb)の商品ページ上において、えんどう豆を含む22gの植物性タンパク、プロバイオティクス、消化酵素、14種の発芽豆類・穀類・クロレラを含む製品として案内されています。こうした「いろいろ入っている製品」は魅力的に見える反面、IBSでは「いざ」というときに何が合わななかったのか分かりにくくなります。Monash大学も、“prebiotic”と書かれた製品は注意が必要だとしています。
発芽玄米系を選ぶにしても、「発芽玄米だからよい」ではなく、発芽玄米系の中でも単純な製品を選ぶことが大切です。
粉のプロテイン自体が重いなら、EAAという選択肢
どの種類を試しても、お腹が張る。あるいは、プロテインパウダーそのものが重く感じる。
そういう方では、EAA(必須アミノ酸)が選択肢に挙がる場合もあります。
EAAは、タンパク質の材料になる必須アミノ酸を、そのまま摂る形のサプリメントです。ですから、粉のプロテインよりも、腸の負担感が少なく感じられる方がいます。
とはいえ、EAAは、通常の食事やプロテインサプリメントの代わりとして、十分なタンパク質量をまとめて確保するためのものではありません。プロテインサプリメントを避ける場合、日々の食事で必要なタンパク質が確保されていることが前提となります。そしてEAAは、その「上乗せ」として、運動の直前直後や運動中、あるいは起床後など、血中のアミノ酸濃度を補う手段として使うことになります。
候補としては、NICHIGA EAA ノンフレーバーがあります。商品情報では、原材料はとうもろこし由来の必須アミノ酸と乳化剤(ひまわり由来)。香料不使用、人工甘味料不使用とされています。
新しい製品を試すときの注意点
IBSでは、製品選びと同じくらい、最初の試し方が大事です。
- いきなり1回量を全部飲むのではなく、半量以下から始める。
- 空腹時に一気に飲まず、食後か間食として少しずつ試す。
- 新しいサプリをいくつも同時に始めず、1種類ずつ反応を見る。
これらは単純ですが、とても大切なことです。
また、低FODMAPの考え方を取り入れる場合も、何でも長く避け続けるのではなく、自分にとって何がお腹の不調の引き金になりやすいかを探ることが大切です。AGAのClinical Practice Updateでも、低FODMAP食は根拠のある方法である一方、制限後は再導入と個別化へ進むことが勧められています。
まとめ
IBSの方がフィットネス目的でプロテインを選ぶとき、見るべきなのは「ホエイか、ソイか」だけではありません。実際には、乳糖、ポリオール、イヌリン、フラクトオリゴ糖、香料や甘味料の多さが、腹部症状に関わりやすいことがあります。
そのうえで、購入候補に挙げやすいとじねん堂が考えるのは、
- ホエイならアイソレートのプレーン
- 乳製品が気になるなら卵白
- 植物性ならソイアイソレート無香料
- ソイ以外なら、発芽玄米系でも原材料が単純なもの
- 粉のプロテインが重いなら、食事を土台にしたうえで補助的にEAA
このような順番です。
筋トレやフィットネス目的にプロテインサプリメント取り入れる際の参考になれば幸いです。
商品の配合や原材料表示は変更されることがあるため、購入前に最新のラベルや商品ページをご確認ください。また、単純な原料でプレーンなものは独特の香りや味を持つものが多いです。「お腹には問題ないけど飲めない」ということもあり得ますのでご注意ください。
【参考文献】
Chey WD, Hashash JG, Manning L, Chang L. AGA Clinical Practice Update on the Role of Diet in Irritable Bowel Syndrome: Expert Review. Gastroenterology. 2022 May;162(6):1737-1745.e5.
Whelan K, Martin LD, Staudacher HM, Lomer MCE. The low FODMAP diet in the management of irritable bowel syndrome: an evidence-based review of FODMAP restriction, reintroduction and personalisation in clinical practice. J Hum Nutr Diet. 2018 Apr;31(2):239-255.
Reed KE, Camargo J, Hamilton-Reeves J, Kurzer MS, Messina MJ. Neither soy nor isoflavone intake affects male reproductive hormones: An expanded and updated meta-analysis of clinical studies. Reprod Toxicol. 2021 Mar;100:60-67.
Ferrando AA, Paddon-Jones D, Wolfe RR, et al. Effects of essential amino acid supplementation on exercise-induced changes in muscle protein synthesis and whole-body protein turnover. J Int Soc Sports Nutr. 2023;20(1):2256064.
“Protein powders and IBS”. Monash University. 2021 March 04. https://www.monashfodmap.com/blog/protein-powders-and-ibs/, (参照 2026/02/12).
“Dairy alternatives (beverage and yoghurt) – low FODMAP options”. Monash University. 2024 August 26. https://www.monashfodmap.com/blog/dairy-alternatives-beverage-and-yoghurt-low-fodmap-options/, (参照 2026/02/12).

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