風疹(ふうしん)は、「三日ばしか」とも呼ばれ、発熱・発疹・リンパ節の腫れを特徴とするウイルス性感染症です。感染しても症状が出ない方も約15〜30%いますが、重症化すると血小板減少性紫斑病や急性脳炎といった合併症を引き起こすことがあります。
風疹ウイルスは飛沫感染(くしゃみ・咳など)によって広がり、感染力が非常に強く、発症の約1週間前から発疹出現後1週間程度まで他人にうつす可能性があります。治療法は対症療法しかなく、最も有効な予防策はワクチン接種と言われています。
今回は風疹について、妊娠を希望される方に知っていただきたいことをいくつかお示しできればと思います。
妊娠を希望される方にとっての風疹のリスク
妊娠初期の女性が風疹に感染すると、胎児に深刻な障害を引き起こすことがあります。これを「先天性風疹症候群(CRS)」と呼びます。代表的な症状には、先天性心疾患、難聴、白内障などがあり、その他にも、発達遅滞、糖尿病、小眼球症など多岐にわたる障害が確認されています。これらの障害は、妊娠中の風疹感染を予防することで防ぐことが可能です。
しかしながら現在、妊娠を希望される方やその家族に多い30代~50代のかたが、風疹感染の高リスク世代と言われています。この世代は、風疹のワクチンを打っていない可能性の高い世代になります。昭和37~54年生まれの場合、女性しかワクチン接種が行われておらず、男性は風疹の免疫がない人が多くいます。また、昭和54~62年生まれの方は、予防接種制度の問題で接種率が低く、風疹の免疫がない人が多くなります。

風しんの第5期定期接種
2019年から実施されていた「風しんの第5期定期接種」は、風疹に対する免疫を持っていない割合が高い世代である1962年4月2日~1979年4月1日生まれの男性を対象とし、2025年3月31日に終了するまで、抗体検査と予防接種が無料で提供されてきました。自宅に無料クーポン券が郵送されてきた方もいらっしゃるかと存じます。
本事業は期間を終了していますが、まだ抗体検査や接種を受けていない方は、速やかに自治体へご相談されることをおすすめします。2025年度以降の自治体における風疹対策については次にお示しします。
三重県・津市における風疹対策(2025年以降)
風しんの第5期定期接種が終了した今も、三重県や津市では独自の助成制度を設けて、引き続き風疹対策を支援しています。
三重県の風しん抗体検査事業
三重県では、三重県に住所のある妊娠を希望する女性とその配偶者、妊婦の配偶者などを対象に、無料の風しん抗体検査を2026年2月28日まで実施しています。
詳細や申し込みについては、お住まいの市町保健センターまたは県ホームページ(三重県「風しん抗体検査事業について」)をご確認ください。
津市の風しん予防接種費用助成
津市では、抗体検査の結果、風しん抗体価が低い方に対して、風しんワクチンの接種費用の一部を助成しています。こちらの対象者は、妊娠を予定もしくは希望している女性・妊婦の同居者で、津市内に住所を有する方となっており、実施期間は2026年3月31日までです。
助成額や申請方法などの詳細は、津市公式ウェブサイト(津市「風しん予防接種の費用助成について」)をご覧ください。
最後に
風疹はワクチンで防げる病気です。しかし、一部の世代や男性では、過去の制度の関係で十分な免疫を持っていない場合があります。とくに妊娠を希望する方や妊婦さんと接する機会がある方は、必ず抗体検査を受け、自分と周囲の命を守る行動を選びましょう。
もちろん、じねん堂の施術者(昭和50年生まれ)も抗体検査済みです。子供のころの予防接種こそ受けてはいませんが、どこかで感染していたようで、抗体価は十分な値でした。アイキャッチ画像でお示ししたとおりです。
【参考】
国立感染症研究所. 先天性風疹症候群とは. 2013. https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/429-crs-intro.html, (参照:2025/4/17)
厚生労働省. 風しんについて. https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index.html, (参照:2025/4/17)
第24回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 資料. 2018. https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000210542_00002.html