妊娠中の身体活動というと、ウォーキングやマタニティヨガなど、「運動する時間」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、一日は運動の時間だけでできているわけではありません。仕事や食事、テレビを見る時間など、座って過ごす時間があり、その間に立ったり、家の中を歩いたり、家事をしたりする時間があります。
2026年、Gibbsらは、妊娠中の女性470人に活動量計を装着してもらい、「座る」「立つ」「歩く」という一日の過ごし方と、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、早産などとの関係を調べました。
結果として、座位時間が短く、軽い身体活動や歩数が多い方では、望ましくない妊娠転帰が少ない傾向が示されました。
とはいえ、この研究は「座る時間を減らせば妊娠中の合併症を予防できる」と証明したものではありませんし、「1日何時間までなら座ってよい」「何歩歩けばよい」という基準を示した研究でもありません。
では実際、この研究ではどのようなことが調べられ、何が分かったのか。
今回はGibbsらによる妊娠転帰と身体活動に関する研究について解説したいと思います。
どんな研究なのか
WHOの2020年版ガイドラインでは、運動を制限する医学的な理由のない妊娠中・産後の女性に対して、週を通じて少なくとも150分の中強度有酸素運動を行うことが推奨されています。
そして同時に、座って過ごす時間を減らし、その一部を軽い身体活動に置き換えることも推奨されています。この軽い身体活動には、立つ、ゆっくり動くといった活動も含まれます。
ただ、このWHOガイドラインが作成された時点では、妊娠中の座位行動を直接調べた研究は乏しく、座位時間に関する推奨の多くは一般成人の研究結果から導かれたものでした。座位時間についても、「1日何時間まで」「何分ごとに立つ」といった具体的な数値は示されていません。
Gibbsらの研究は、すでに推奨されていた「座る時間を減らし、軽く動く」という考え方について、妊娠中の方を対象に、活動量計を使って検討したものです。また、研究者が活動量を変えるよう指示した「介入研究」ではなく、普段の活動と妊娠転帰との関係を追った「観察研究」に分類されます。
妊娠初期から後期まで、日々の動きを活動量計で測定
Gibbsらは、妊娠中の24時間の行動を調べる多施設共同研究「Pregnancy 24/7」のデータを用いて、座位時間や身体活動と妊娠転帰との関係を検討しました。米国のアイオワ州、ペンシルベニア州、ウェストバージニア州にある大学関連医療機関で、妊娠13週未満の方を対象に参加者を募集し、2021~2025年に集められたデータのうち470人を解析しています。
参加者は、妊娠10~12週、20~22週、32~34週の3回、太ももに活動量計を7日間装着しました。質問票で「運動を何分行ったか」を尋ねたのではなく、座っている時間、立っている時間、歩行などを機器で測定しているため、意識して行う運動だけでなく、家事、仕事、移動など、日常生活の中での動きも含まれているのが特徴です。
活動量計で得られたデータは、次のような指標に分けて解析されました。
| 指標 | この研究で表すもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 座位時間 | 睡眠時間を除き、座る、もたれる、横になる姿勢で過ごした時間 | 活動の強さではなく、主に姿勢による分類 |
| 60分未満で終わった座位 | 1回の座位が60分未満だったものを、1日分合計した時間 | 「60分」は、あくまで研究上の分類であり、安全性の境界という意味ではない |
| 60分以上続いた座位 | 1回に60分以上続いた座位を、1日分合計した時間 | |
| 軽い身体活動(LPA) | 活動量計が1.5 METsを超え、3.0 METs未満と判定した時間 | 家事、仕事、ゆっくりした歩行などを含む |
| 立位を中心とする軽い身体活動 | 歩行などの移動をほとんど伴わず、立った姿勢で行った軽い活動 | 立っていた時間のすべてではなく、軽い身体活動の一部 |
| 移動を伴う軽い身体活動 | 歩行など、移動を伴って行われた軽い活動 | 歩数とは異なり、動いていた「時間」を表す |
| 中強度以上の身体活動(MVPA) | 活動量計が3.0 METs以上と判定した時間 | 有酸素運動だけとは限らない |
| 歩数 | 1日に歩いた歩数 | 活動時間や運動強度とは別の指標 |
軽い身体活動と歩数は一部重なりますが、同じものではありません。歩行は、その速さに応じて軽い身体活動または中強度以上の身体活動に数えられますが、歩数は足を踏み出した回数を示します。また、あまり歩かずに立って作業していた時間は、立位を中心とする軽い身体活動には含まれても、歩数はそれほど増えません。
運動強度について
本研究では、身体活動の強度を分類するためにMETs(メッツ)値を用いています。METsは、身体活動の強さをエネルギー消費量で表す単位です。安静に座っている状態を1 METとし、3 METsなら安静時の約3倍のエネルギーを消費する強さを意味します。
この研究における分類は、次のとおりです。
- 軽い身体活動:1.5 METsを超え、3.0 METs未満
- 中強度の身体活動:3.0 METs以上、6.0 METs未満
- 高強度の身体活動:6.0 METs以上
- 中強度以上の身体活動(MVPA):3.0 METs以上
身体活動の強度は、太ももの動きや歩調をもとに、活動量計によって推定されています。また、MVPAは有酸素運動とは限りません。歩行、家事、仕事、運動などの種類を区別せず、機器が3 METs以上と判定した時間の合計です。
METs値についてさらに詳しく知りたいかたは、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 栄養代謝研究室のページ下部にある「関連データベース等」から、「改訂第2版『身体活動のメッツ(METs)表』成人版」をご覧ください。運動だけでなく、家事や仕事、移動など、日常生活におけるさまざまな動作のMETs値が記載されています。たとえば、「台所での活動:全般(例:調理、皿洗い、掃除)、ほどほどの労力」は3.3 METs、「掃除機掛け:全般、ほどほどの労力」は3.0 METsです。これらは、METs値の区分では中強度の身体活動に当たります。
「望ましくない妊娠転帰」とは
この研究では、次のうち少なくとも1つが認められた場合を「望ましくない妊娠転帰」として評価しました。
- 妊娠高血圧症候群などの妊娠高血圧関連疾患
- 妊娠糖尿病
- 早産
- 在胎週数に比べて小さく生まれた赤ちゃん(SGA)
470人のうち、少なくとも1つが認められたのは174人、37.0%でした。内訳は、妊娠高血圧関連疾患が86人、妊娠糖尿病が34人、早産が32人、SGAが54人です。複数の転帰が重なった参加者もいます。
なお、流産などの妊娠喪失例は、最終的な解析対象から除外されています。
結果はどうだったか
解析の結果、活動パターンの異なる群の間で、望ましくない妊娠転帰の発生割合に違いがみられました。
参加者は平均して1日10時間以上座っていた
活動パターンの異なる群間差を見る前に、まずは参加者全体の平均的な活動量から紹介します。
参加者全体の妊娠期間を通じた活動量は、次のとおりでした。
| 測定項目 | 参加者全体の活動量 |
|---|---|
| 座位時間 | 平均1日10.1時間 |
| 軽い身体活動 | 平均1日4.6時間 |
| 歩数 | 平均1日6,783歩 |
| 中強度以上の身体活動 | 中央値で週152.6分(四分位範囲89.6~230.3分) |
参加者は、起きている時間の多くを座って過ごしていました。
一方で、中強度以上の身体活動は中央値で週152.6分でした。また、中央に位置する半数が週89.6~230.3分の範囲に入っていました。(約4分の1は週89.6分未満、約4分の1は週230.3分を超えていた)
中央値は、時間だけを比べるとWHOが推奨する週150分とほぼ同じですが、活動量にはかなり幅があり、比較的活動的な人も含まれていた集団であったことが分かります。
座位時間が長い群では、望ましくない妊娠転帰が多かった
座位時間の異なる4群を比較する際、研究者らは、参加者の背景の違いも考慮しました。
年齢、初産か経産か、社会経済状況は、妊娠転帰に影響し得る要因です。単純に発生割合を比べるだけでは、座位時間による違いなのか、参加者の背景による違いなのかを区別しにくくなります。そこで、これらの影響をできるだけ差し引くよう統計的に調整しました。
調整後の結果は、次のとおりです。
| 座位時間の群 | 1日あたりの平均 | 調整後の発生割合 | 最も短い群との比較 |
|---|---|---|---|
| 最も短い群 | 7.3時間 | 19.0% | 基準 |
| 2番目に短い群 | 9.1時間 | 32.3% | 発生割合は高かったが、明確な差は示されなかった |
| 2番目に長い群 | 10.4時間 | 42.3% | 発生リスクは約2.2倍 |
| 最も長い群 | 11.8時間 | 41.6% | 発生リスクは約2.2倍 |
統計的に調整した後も、座位時間が平均10.4時間と11.8時間の群では、平均7.3時間の群と比べて、望ましくない妊娠転帰の発生リスクが約2.2倍になっていました。
平均9.1時間の群でも発生割合は高くなっていましたが、この群については、統計上、明確な差があるとは判断されませんでした。
ただし、この研究だけで「座位時間が長いと、発生リスクが正確に2.2倍になる」とまではいえません。「座位時間の長い群では、望ましくない妊娠転帰が多かったと」いう関係が示された、と受け取るのが適切です。
研究の性質上、この後出てくる様々な観察結果についても、単純に「リスクが〇〇倍」とまでは言えないことをご承知おきください。
とくに目を引くのは「60分以上続く座位」
研究者らは、1日の座位時間全体だけでなく、座位が1回にどれくらい続いたかにも注目しました。具体的には、60分未満で終わった座位と、立ったり歩いたりせず60分以上続いた座位とに分けて分析しています。
ここでいう「60分以上続く座位の時間」は、7日間の測定期間中、各日について60分以上続いた座位に費やした時間を合計し、分析に使える測定日の平均を求めたものです。
年齢、初産か経産か、社会経済状況の影響を統計的に調整した結果は、次のとおりです。
| 60分以上続く座位の群 | 1日当たりの平均 | 調整後の発生割合 | 最も短い群との比較 |
|---|---|---|---|
| 最も短い群 | 0.9時間 | 21.8% | 基準 |
| 2番目に短い群 | 1.9時間 | 41.5% | 発生リスクは約1.9倍 |
| 2番目に長い群 | 3.5時間 | 40.5% | 発生リスクは約1.9倍 |
| 最も長い群 | 5.6時間 | 43.5% | 発生リスクは約2.0倍 |
60分以上続く座位として過ごした時間が1日平均1.9時間以上だった3群では、いずれも望ましくない妊娠転帰の発生割合が40%を超え、最も短い群と比べて発生リスクが約1.9~2.0倍になっていました。
しかし、これらの群は座り方以外の要素でも異なった点がありました。
60分以上続く座位が長い群ほど、中強度以上の身体活動が少なく、妊娠前BMIが高い傾向があったのです。最も短い群では、中強度以上の身体活動が中央値で週195.0分、妊娠前BMIが平均26.0だったのに対し、最も長い群では、それぞれ週89.5分、29.6でした。
そうなると、次のような疑問が浮かびます。

妊娠転帰に関係しているのは、長く続く座位ではなく、身体活動量の少なさやBMIの高さなのでは?
たしかに、中強度以上の身体活動の少なさや妊娠前BMIの高さは、それ自体が妊娠転帰に関係し得ます。
そこで研究者らは、身体活動量の違いを考慮した場合と、妊娠前BMIの違いを考慮した場合とに分けて追加解析しました。その結果、どちらを考慮しても、60分以上続く座位と望ましくない妊娠転帰との関係は大きく変わらなかったのです。
もちろん、この研究は観察研究であるため、長く座り続けることが原因だったとは断定できません。それでも、「60分以上続く座位として過ごす時間が、中強度以上の身体活動量や妊娠前BMIとは別に、望ましくない妊娠転帰と関連している可能性」が示されたといえます。
一方で、1回60分未満で終わる座位の時間と、望ましくない妊娠転帰との間には、明確な関係は示されませんでした。
軽い身体活動が多い群では、望ましくない妊娠転帰の発生割合が低かった
研究者らは、座っていない時間のうち、3 METs未満の軽い身体活動にも注目しました。ここには、立って過ごすことや、ゆっくり動くことなどが含まれます。
年齢、初産か経産か、社会経済状況の影響を統計的に調整した結果は、次のとおりです。
| 軽い身体活動の群 | 1日当たりの平均 | 調整後の発生割合 | 最も短い群との比較 |
|---|---|---|---|
| 最も短い群 | 3.0時間 | 40.3% | 基準 |
| 2番目に短い群 | 4.2時間 | 43.3% | 明確な差なし |
| 2番目に長い群 | 5.4時間 | 34.7% | 明確な差なし |
| 最も長い群 | 7.3時間 | 21.1% | 発生リスクは約半分 |
軽い身体活動として過ごす時間が最も長い群では、調整後の発生割合は21.1%でした。最も短い群の40.3%と比べると、発生リスクはおよそ半分です。
また、軽い身体活動の時間が長くなるにつれて、発生割合が一段階的に下がっていたわけではありません。最も短い群との明確な差が示されたのは、最も長い群との間でのみでした。
研究者らはさらに、軽い身体活動を、動きの少ない立位中心の活動と、歩行を伴う活動とに分けて分析しました。結果、立位中心の軽い活動が多い群では、妊娠高血圧関連疾患が少ない傾向が目立ちました。 一方で、歩行を伴う軽い活動だけを取り出すと、望ましくない妊娠転帰との明確な関係は認められませんでした。
とはいえ、このことから「歩くより立っている方がよい」とまでは言えません。なぜならこの研究では、立位と望ましくない妊娠転帰との関連が目立った理由について検証されていないからです。
一日当たりの歩数と望ましくない妊娠転帰の発生割合
研究者らは、妊娠初期から後期までの1日当たりの歩数に基づいて、参加者を4つの群に分けました。表の歩数は、各群の妊娠期間を通じた1日当たりの平均です。
年齢、初産か経産か、社会経済状況の影響を統計的に調整した結果は、次のとおりです。
| 1日当たりの歩数の群 | 平均歩数 | 調整後の発生割合 | 最も少ない群との比較 |
|---|---|---|---|
| 最も少ない群 | 3,918歩 | 47.7% | 基準 |
| 2番目に少ない群 | 6,077歩 | 36.2% | 発生リスクは24%低い |
| 2番目に多い群 | 8,519歩 | 32.2% | 発生リスクは33%低い |
| 最も多い群 | 11,863歩 | 28.4% | 明確な差なし |
1日平均6,077歩の群と8,519歩の群では、最も歩数が少ない群と比べて、望ましくない妊娠転帰の発生リスクがそれぞれ24%、33%低くなっていました。
最も歩数が多い群では、調整後の発生割合が28.4%と、4群のなかで最も低くなっています。しかし、最も少ない群との比較では、統計学的に明確な差があるとまではいえませんでした。



歩数が最も多い群は、発生割合もいちばん低いのに、最も少ない群と明確な差がないって、どういうこと?
実は、最も歩数が多い群では、発生リスクも、基準(最も歩数が少ない群)より推定上40%低くなっていました。しかし、この群は38人と少なかったため、その差を統計学的に明確なものと判断するには至らなかったのです。
4群全体を見ると、歩数が多い群ほど、望ましくない妊娠転帰の発生割合が低くなる傾向が示されました。注目したいのは、1日1万歩を超える群だけでなく、約6,000歩、約8,500歩の群でも発生リスクが低かったことです。
とはいえ、この研究から、「妊娠中は1日6,000歩以上歩けばよい」「1万歩を目標にすべき」といった基準を決めることはできません。また、観察研究であるため、歩数を増やすことによって妊娠転帰が改善するとも断定できません。妊娠中を通じて歩数が多かったことと、望ましくない妊娠転帰が少なかったこととの関連が示されたと捉えるのが妥当です。
「座る・立つ・歩く」は互いに関係している
ここまで、座位時間、軽い身体活動、立位、歩行、歩数の結果を分けて見てきました。
一見すると、歩行を伴う軽い身体活動では望ましくない妊娠転帰との明確な関係が示されなかったのに、歩数の多い群では発生リスクが低かったという二つの結果は、矛盾しているように思えます。
しかし、この2つは同じ指標ではありません。
歩行を伴う軽い身体活動は、3 METs未満の強度で歩いた時間です。これに対して歩数は、強度にかかわらず、起きている間に記録された歩数の合計です。そのため、「軽い歩行の時間」と「1日の歩数」とでは、捉えている動きが異なります。
さらに、座る・立つ・歩く時間は互いに連動しています。起きて過ごす時間には限りがあるため、座る時間が長くなれば、立つ・動く時間は短くなります。反対に、立つ・歩く時間が増えれば、座る時間は短くなります。実際、この研究でも、座位時間の長い群ほど軽い身体活動と歩数が少なく、歩数の多い群ほど座位時間が短く、軽い身体活動と中強度以上の身体活動が多くなっていました。
したがって、今回の結果は、「座ることの悪影響」「立つことの好影響」「歩くことの好影響」という3つの独立した効果を示したものではなく、日々の生活時間の配分の違いを捉えたものです。座る時間が短く、立ったり動いたりする時間と歩数が多い過ごし方が、望ましくない妊娠転帰の少なさと関連していました。
この研究の限界
繰り返しになりますが、Gibbsら(2026)の研究は、妊娠中の方を「長く座る群」と「よく動く群」とに割り振った介入研究ではなく、実際の生活での過ごし方と、その後の妊娠転帰との関係を調べた観察研究です。
研究者らは、年齢、初産か経産か、社会経済状況の違いを統計的に調整しました。さらに、中強度以上の身体活動と妊娠前BMIとをそれぞれ考慮した追加解析でも、長く続く座位と望ましくない妊娠転帰との関連はおおむね保たれました。
とはいえ、統計的に考慮できたのは、研究で測定された項目に限られます。測定されていない要因や十分に調整できていない要因が、座位時間と妊娠転帰との両方に影響していた可能性は残ります。
そして、妊娠中の体調不良や合併症の兆候が先にあり、そのために動く時間が減り、座って過ごす時間が増えたという逆向きの関係性も考えられます。
参加者は、米国の3つの大学関連施設で募集された比較的健康なボランティアで、人種・民族の多様性も限られていました。日本の妊娠中の方や、合併症のリスクが高い方にも同じ関係が当てはまるかは未確認です。
また、「長く座ったことが原因だった」と断定したり、望ましくない妊娠転帰となった方に生活上の責任を負わせたりする解釈は、研究の範囲を超えます。研究者らも、座る時間を減らして軽く動く時間を増やす働きかけによって、妊娠転帰が改善するかを検証する介入研究が必要だとしています。
妊娠中の日常生活にどう活かせるか
この研究から日常生活に生かせるのは、特定の運動や歩数を目標にすることよりも、一日の過ごし方全体に目を向けるという考え方です。
デスクワークやテレビ視聴などで座る時間が長く続いたときに、体調がよければ一度立って姿勢を変える、家や職場の中を少し歩く、軽い家事や短い移動を行う。このような小さな動きを日中に分散させることが、現実的な取り入れ方です。強い運動を新たに始めたり、無理に歩数を増やしたりすることではなく、長く続く座位に小さな動きを挟むことが肝要です。
妊娠中には、疲労や吐き気などで座って過ごしたい日もあります。そのような日は、休息を優先することも大切です。
研究対象からは、重い移動制限や妊娠転帰に影響する病気のある方が除かれていました。主治医から安静や運動制限を指示されている場合は、その指示を優先してください。
まとめ
Gibbsらは、470人の妊娠中の方を対象に、妊娠初期から後期までの座位時間、軽い身体活動、歩数を活動量計で測定しました。この研究で観察されたのは、運動をするかどうかだけでなく、座る・立つ・歩くといった日中の過ごし方全体と、妊娠転帰との関連性です。
結果、座位時間が長い群、とくに60分以上続く座位として過ごす時間が長い群では、望ましくない妊娠転帰が多くなっていました。また、軽い身体活動や歩数が多い群では、発生割合が低い結果が示されました。
とはいえ、観察研究の性質上、長く座ることが原因だったとまでは断定できません。また、研究で用いられた「60分」や特定の歩数も、生活上の基準を示すものではないことに注意が必要です。
体調と主治医の指示を優先しながら、長く座り続ける時間をできる範囲で区切り、立つ、姿勢を変える、少し歩くといった軽い動きを日常生活の中に取り入れる。いわゆる「こいごき」を増やす。現時点では、このような活かし方が最も現実的です。
【参考文献】
Barone Gibbs B, Kim J, Gallagher J, Jones MA, Crisp AH, Wilhite K, Smith K, Rahman S, Thrower A, Catov JM, Kline CE, Feghali M, Santillan D, Santillan M, Sheikh I, Zimmerman B, Whitaker KM. Adverse Pregnancy Outcomes and Sedentary Behavior, Light-Intensity Physical Activity, and Daily Steps. JAMA. 2026 Jul 14;336(2):135-143. doi: 10.1001/jama.2026.6986.
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