円形脱毛症で頭皮がへこむ原因と対処法とは

 円形脱毛症とは、本来自分の身体を護るために働く免疫細胞が、毛包(髪を作る工場)を誤って攻撃し、突然頭髪や体毛が円形・楕円形に抜け落ちる自己免疫疾患です。10円玉程度の単発型から、全頭・全身に及ぶものまで症状は様々で、男女問わず、子供から大人まで発症します。

 髪が抜けていくだけでも不安は大きいものですが、なかにはシャンプーの時などにふと頭を触って、「抜けた部分がへこんでいる気がする」と、さらに心配になる方がいらっしゃいます。もともと毛量が多かったり髪が長かったりする方の場合、脱毛部だけ髪の厚みが失われるため、頭皮そのものには変化が無くとも、頭を触ったときに「へこんだように感じられる」ことは少なくありません。そう感じてしまうことがまさに不安の大きさを表しているとも言えます。

 とはいえ、円形脱毛症における「頭皮のへこみ」が、全て気のせいというわけでもありません。むしろその現象は、治療の影響や病変の経過によって、実際に起こり得るのです。

 今回は、円形脱毛症における頭皮のへこみ(陥凹)について。どんな時に起こり得るのか、そして気になった時にどう行動すればよいのかをお示しできればと思います。

目次

実際に頭皮がへこむ2つの原因

 なぜ髪が抜けるだけでなく頭皮のへこみが生じるのでしょうか。主な理由は2つあります。

病院でのステロイド治療による皮膚萎縮

 頭皮がへこむ原因として最も考えやすいのは、皮膚科で行われる治療の影響です。
 円形脱毛症では、脱毛斑に直接ステロイドを注射する「ステロイド局所注射」が標準的な治療の一つとして用いられています。ステロイドは、毛包を誤って攻撃している免疫反応や炎症を局所で抑えるために使われ、その結果として発毛が促されます。この治療に伴う副作用として、局注部位の皮膚萎縮が起こることがあります。また、強いステロイドの塗り薬を長期間使用することでも同様の症状が出ることがあります。
 とはいえ、これらステロイドの副作用による皮膚の萎縮(へこみ)は、通常数ヶ月以内に自然回復すると医学的にも報告されています。つまり多くの場合、へこみは一時的なものなのです。

円形脱毛症の「慢性化」による影響

 日本皮膚科学会のガイドラインには、「脱毛部に萎縮や瘢痕は残さないが、慢性期では病巣部がわずかに陥凹する(へこむ)こともある」と記されています。
 円形脱毛症は、毛包に修復不能な損傷を残さない非瘢痕性の脱毛症です。ここでいう「非瘢痕性」とは、一般的な意味での「傷あと(瘢痕)がまったく残らない」というよりも、毛包が完全には破壊されないので将来的な発毛の余地が残ることを表しています。したがって、この言葉は「髪が再び生えてくる可能性」を示す一方で、慢性期にみられた頭皮のへこみまでが必ず完全に元どおりになることまでは含まれません。
 もっとも、ガイドラインが「萎縮や瘢痕は残さない」としていることからは、円形脱毛症が皮膚組織を不可逆的に破壊して固定的な傷あとを残す病態ではないことがうかがえます。そのため、慢性期にみられる軽いへこみも、炎症が落ち着き、毛周期(毛が「成長期」「退行期」「休止期」の3段階を繰り返す生え変わりのサイクルのこと)が再び成長期に入って発毛が進むにつれて、次第に目立ちにくくなっていく可能性はあります。毛周期に応じて周囲の皮膚の脂肪組織の厚みも変動することも知られています。つまり、毛が再び生え始める過程において、毛包そのものだけでなく、しぼんでいた周囲の環境も再生方向に転ずるため、慢性病変でみられた軽いへこみも目立ちにくくなっていくと考えることができます。

今回の記事を書くにあたって参考にした資料からは、慢性期にみられる頭皮の陥凹が、すべての患者さんで完全に元どおりになるとまでは言い切れませんでした。円形脱毛症は毛包が失われない非瘢痕性の脱毛症であるため、経過のなかで陥凹も目立たなくなるはずですが、回復の程度や速さには個人差があり、罹患期間が長い症例や重症例では、頭皮のへこみがある程度残ることもあるかもしれません。

頭皮のへこみが気になっても、自己判断で治療をやめない


 頭皮のへこみが気になると、「この注射は続けて大丈夫なのだろうか」「薬をやめた方がよいのでは」と不安になるかもしれません。ですが、その不安だけで治療を中断してしまうのは勧められません
 円形脱毛症では、毛包を誤って攻撃している免疫の働きと、それによって起きている炎症を抑えることが大切であり、ステロイドによる治療はそのために重要な役割を担っています。とくに、皮膚科で行われるステロイド局所注射は、限局した脱毛斑をもつ成人症例に対して勧められている治療です。
 その一方で、局所注射や外用によって皮膚が薄くなり、へこんだように見えることがあるのも事実です。だからこそ、頭皮のへこみが気になった時に大切なのは、自己判断で治療をやめることではなく、主治医に相談することです。主治医に相談すれば、それが治療に伴う一時的な変化としてみてよいものか、経過観察でよいのか、治療間隔や方法の見直しが必要なのかを判断してもらえます。不安を抱えたまま一人で悩むのではなく、医師の指導のもとで治療を続けることが大切です。

じねん堂はり灸治療院ができるサポート

 円形脱毛症の治療の基本は、あくまで皮膚科での診断と治療です。
 鍼灸については、脱毛症を対象にした叙述的レビューで、症例報告や小規模臨床研究がまとめられており、円形脱毛症を含む脱毛症で前向きな報告が示されています。ただし、研究の数は多くなく、内容にもばらつきがあります。したがって、現時点では「確立した標準治療」としてではなく、補助的な選択肢として検討されている段階と言えます。基礎研究では、動物実験ではあるものの、足三里への刺激が抗炎症性の自律神経経路と関わる可能性も示されています。
 また、当院で行っているスーパーライザーによる近赤外線照射についても、小規模研究やレビューでは前向きな報告があります。たとえば、低出力レーザーや光線療法で発毛の改善を示した報告はありますが、結果にはばらつきがあり、研究規模も大きくありません。日本皮膚科学会の2024年ガイドラインでも、直線偏光近赤外線照射療法(スーパーライザー療法)や低出力レーザーは、現時点では推奨しないとされています。
 とはいえ、鍼灸やスーパーライザーによる近赤外線照射に効果が無いわけではありません。特に、ガイドラインに記載が無かったり推奨されていなかったりというのは、円形脱毛症の標準治療の枠外、つまり、「皮膚科医が自ら行う治療」の評価対象から外れているか、大規模で質の高い研究データがないかという意味合いが強いと考えられます。
 じねん堂では、皮膚科で行われる標準治療を円形脱毛症治療の「主役」ととらえたうえで、ストレス、睡眠、自律神経、血流、免疫など、円形脱毛症の病態に関与しうる全身および局所の反応に働きかけることを主な目的として、鍼灸とスーパーライザーによる近赤外線照射を提供しています。

まとめ

 円形脱毛症で「頭皮がへこんでいる」と感じた時、そのすべてが気のせいとは言えません。髪が抜けたことで段差のように触れる場合もあれば、ステロイド治療による皮膚萎縮や、慢性化した病変の軽い陥凹が関係していることもあります。
 円形脱毛症そのものは毛包を失う病気ではないため、まずは必要以上に悲観しないことが大切です。
 そして、へこみが気になった時に最も大切なのは、自己判断で治療をやめないことです。まずは主治医に相談し、その変化がどのような意味を持つのかを確認しましょう。
 皮膚科での治療を土台にしながら、必要に応じて鍼灸やスーパーライザーのような補助的なケアを組み合わせていくのも良いかもしれません。じねん堂は、髪のことだけでなく、そのあいだに生じる不安や日常生活のしんどさにも目を向けながら、皮膚科での治療と並走するかたちで円形脱毛症の改善をサポートしています。

【参考文献】
日本皮膚科学会. 円形脱毛症診療ガイドライン2024. 日皮会誌. 2021;134(10):2491-2526.
Pratt CH, King LE Jr, Messenger AG, Christiano AM, Sundberg JP. Alopecia areata. Nat Rev Dis Primers. 2017 Mar 16;3:17011. 
Chen CL, Huang WY, Wang EHC, Tai KY, Lin SJ. Functional complexity of hair follicle stem cell niche and therapeutic targeting of niche dysfunction for hair regeneration. J Biomed Sci. 2020;27:43.
Li AR, Andrews L, Hilts A, Valdebran M. Efficacy of Acupuncture and Moxibustion in Alopecia: A Narrative Review. Front Med (Lausanne). 2022 Jun 9;9:868079.
Hamblin MR. Mechanisms and applications of the anti-inflammatory effects of photobiomodulation. AIMS Biophys. 2017;4(3):337-361.
Tawfik AA, Mostafa I, Soliman M, Soliman M, Abdallah N. Low Level Laser versus Platelet-rich Plasma in Treatment of Alopecia Areata: A Randomized Controlled Intra-patient Comparative Study. Open Access Maced J Med Sci. 2022;10(B):420-427.


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