不妊鍼灸における妊娠率

 前回の記事、「不妊治療と妊娠率のマジック」では、不妊患者を対象に鍼灸を行っている施術所が喧伝する非常に高い妊娠率について、少し疑いの目をもって考察してみました。

鍼灸って、本当は効かないの?

 その様な印象を持たれましたか?

 無理もないことです。しかし、“高く見せかけることのできる妊娠率”以外の部分で、鍼灸の有用性をうかがわせる事柄もあるのです。
 それは、前回お示しした図では隠されていた部分を見れば想像できるかと存じます。以下に、来院前の不妊治療の状態が追加された図をお示ししました。

特定不妊治療の成績(想定)2

 これを見ると、少し印象が変わりませんか?

  • 来院前には採卵をできない状態であったものが、鍼灸を受けることによってそれが可能となり、胚移植まで進むことができたと思われる事例
  • 鍼灸を受けたことで、より早く妊娠に至ったと想像される事例
  • 医業による不妊治療のステップアップにあわせて鍼灸を受け始めたと思われる事例
  • 何度も挑戦して、ついには妊娠に至った事例
  • 何度も挑戦したけれど、妊娠には至らなかった事例

 不妊鍼灸を求めて来院するかたが、医業による不妊治療を一定期間受けていることは決して珍しくありません。言い換えれば、メジャーな方法とは言えない鍼灸に頼らねばならないほど、妊娠しにくい状態のかたが来院されるということ。(もちろんその逆もありますが、それはまた回を改めて)
 その妊娠し難い状態を、鍼灸によってどう改善できるか、改善できると考えられるか。妊娠率だけでは見えてこない部分にも、ぜひ注目していただきたく存じます。
 不妊鍼灸ネットワークに所属する施術所は、鍼灸に掛かる前と後とで不妊治療に関するパラメーター(妊娠率、胚盤胞到達率 など)がどのように変化するかのデータを収集・分析し、臨床に活かしています。いつかグループ全体としてのデータとして世に公開できる日も来るかもしれません。

※本記事に使用した表は、前回のものよりもさらに恣意的に作成されています。現実に存在するものではないことをお知りおき下さい。

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